基準は「どんな体験をしてもらいたいか」 今後はパーソナライズ機能も
――竹本さんがUX デザイナーとして大切にしていることはありますか?
自分の感覚だけで判断しないということです。
Romiの関連グッズとして展開しようとしている洋服や持ち運び専用バックを例に挙げてお話すると、ぬいぐるみ的な可愛さを求める場合、こういう服がかわいいという私自身の基準はもちろんあります。ですがRomiはロボットなので、超えてはいけない熱の温度があったりとか、ボタンの操作に支障があってはいけない、動いた時に脱げないようにしなくてはならないなど制約もたくさんあるので、それらをふまえたデザインをする必要がありました。
そこでまずはRomiを持ち運びたいと考える人が何を求めているのかを調べるアンケートを行い、どういった機能が求められているのかを調査。すると、いろいろな景色を見せるべく、Romiと一緒にお出かけしたいと思っている方が一定数いることがわかりました。
そうなると、Romiの電源を切り、ただカバンに入れることができれば良いというわけではありません。Romiの電源が入った状態にするためにUSBからモバイルバッテリーに繋げたり、モバイルWi-Fiルーターなどを使ってネットワークと接続することも必要になる。お出かけをするために必要なデバイスなども一緒に持ち運びたいというニーズが高いんです。
このように、純粋な自分の好みをベースに考えてしまうと、それらを実際に利用するユーザーさんの使い勝手とはかけ離れてしまうケースもある。ですがデザイナーとしては、ユーザーさんがRomiを通してどのような体験をしたいのかという視点で考えなければいけないことを改めて痛感しました。
――今後、Romiをどのようなロボットにしていきたいですか?展望をお聞かせください。
今後は、ターゲットとなる年齢層をより広めていきたいと考えており、量産が始まった2021年4月から、成人女性だけでなく、幅広い年齢にRomiを知ってもらうための施策もスタートしています。
「ロボットに話しかけていると寂しい人に見られてしまう」、「ロボットを必要としているのはご高齢の方や子どもだけ」など、ロボットへ先入観を持たれているケースも多く、最初からロボットを自分とは関係ないものと捉えられがちです。その固定概念を払拭しなければ、Romiを広く届けることは難しいと考えています。
一方で、ご高齢の方や子どもへのニーズは依然として高いこともわかりました。ロボットは少し手に取りづらいかと思っていたのですが、想定していたよりも多くのご高齢の方に購入していただけました。セットアップ方法の説明や、見守り機能などの説明をしっかり行うなど、ご高齢の方に向けた施策にも引き続き取り組んでいこうと思っています。
またいままでは大人の女性をターゲットにしていたためあまり着手できていませんが、知育との相性も良いのではないかと感じています。寝かしつけの機能をはじめ、子どもともっと楽しく会話ができるような機能も追加していきたいですね。
また、最近ではRomiに任意の呼び名を付けることができるようになりましたが、ユーザーの個性に合わせてRomiが育つようなパーソナライズ機能も、今後はさらに強化していけたらと考えています。
――竹本さん、ありがとうございました。