「VRって良さそう」と感じてもらうために 日々の試行錯誤を明かす
――プロダクトとしてのスペースリーの強みや、開発体制について教えてください。
スペースリーは、360度のパノラマ写真を簡単にVRコンテンツ化できるサービスです。そのうえでの強みは、事業の売上があがる、効率が良くなるといった効果を実感するためのサイド機能を多数揃えていること。リモートで接客がしやすいVRウェブ会議システム、CRMやMA、AI空間設計というバーチャル空間にCG家具を置ける機能が可能な機能などが搭載されています。VRコンテンツの作成だけにとどまらず、企業の事業をサポートするような機能を用意している点が特徴であり強みだと考えています。
なお6,000を超えた導入アカウント数の約8割は不動産関係の利用事業者です。
VRのクラウドソフト「スペースリー」のプロダクト開発のメンバーは、エンジニアが14人、UI/UXデザイナーが2人と、PdMは各プロダクトラインごとにいます。
ひとつのプロダクトの中でセールスマーケティングサービス担当、研修サービス担当、アプリ担当などチームが分かれており、兼任しているメンバーも多いです。
スペースリーの場合、PdMとデザイナーとエンジニアとでPdM会議を行っているので、いわゆる上流から機能をリリースするところまでデザイナーも関わっています。CSからあがってきた要望をPdMが認識して会議にもってくることもあれば、大規模な機能開発だとPdM、デザイナー、CSが集まって話し合うこともあります。
――BtoBのプロダクトだからこそこだわっていること、意識していることはありますか?
C向けのサービスであるココナラのサービス初期に関わっているときは、個人的に「村」を作っている感覚でした。ココナラのサービス開始初期のころは自身のスキルを使ってステップアップしていくことができたり、イラストを販売したり、おひねりという機能でありがとうを表現したり……。村という社会を作るイメージでした。
一方スペースリーでは、武器を作っている感覚なんですよね。CEOの森田は「僕たちはVRの機能を提供し、利用事業者はそれを活用して業績を上げていったり、問題を解決していく。だから同盟を結ぶようなイメージが近い」と話していました。
不動産と一口に言っても、仲介や賃貸、売買といった分類がありますし、さらにそのなかでも細分化されています。それぞれの特色を持った利用事業者が同じUIを使うので、企業Aにとってはハッピーでも企業Bにとっては使いづらいというケースも当然ある。そこをどのように整えていくかは、今でも悩みながら向き合っている課題のひとつです。
またB向けのプロダクトだと、スペースリーの導入を決めた人と実際に利用する人が異なるケースもあります。CSチームが利用事業者と直接話をしたり、マニュアルを作成したりとよりよいオンボーディングのための取り組みは行っているのですが、上の人が導入したから突然スペースリーを使うように言われたという人も当然いるわけです。そういった人たちにどうやってワクワクしてもらうか。「VRってなんか良さそう」と思ってもらうためには何が必要か。その塩梅は常に考えています。
また現在は成長フェーズで機能開発のスピードも早く、機能追加やユーザーの意見をもとにした新機能の要望なども多いため、新たに機能が入ってきても破綻しないようにすることも意識しています。
入社したときにはすでに、スペースリーにはいろいろな機能がスピード重視で追加されていました。すると、どこにどの機能があるのかわからなかったり、良い機能だけれど使用する導線がわかりにくいので使われていない、といった状態でした。そういった箇所は既存機能の情報整理を行いながら、開発速度を保てるように優先順位を考えながら取り組んでいます。