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ダイバーシティマネジメントの秘訣

多国籍の開発チームをうまくまとめるには? マネーフォワードEMに訊く、エンジニア組織の"英語公用語化"へのステップ

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 「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに掲げ、40以上ものサービスを提供しているマネーフォワードでは多国籍、多文化な環境を目指し、あらゆる社内プロセスやコミュニケーションの"英語化"を推進している。施策の1つとして「Team Nikko」を立ち上げたマネーフォワード小牧将和氏に、開発組織のグローバル化を実現するヒントをお伺いした。

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海外で得た経験を日本にフィードバックしたい

 マネーフォワードでエンジニア組織のグローバル化を推進しているのは同 CTO室 グローバル部 部長 小牧将和氏。日本と海外の両方で、グローバルな組織の成長に向けて経験を積んできた。

株式会社マネーフォワード CTO室 グローバル部 部長(「Team Nikko」エンジニアリングマネージャー)小牧将和氏
株式会社マネーフォワード CTO室 グローバル部 部長(「Team Nikko」エンジニアリングマネージャー)小牧将和氏

 大学卒業後は東京でエンジニアとして就職し、会計やeコマース関連の製品開発に携わり、後にテックリードやマネジメントも経験した。外国人の部下もいたものの、日本のオフィスでのコミュニケーションは日本語だった。

 後にシンガポールにある子会社に転勤。コミュニケーションは完全に英語となり、120人ほどのマネジメントをすることに。シンガポールにいながら転職もいくつか経験した。シンガポールでの生活が4年ほど過ぎたころ、日本への帰国を決めた。

 帰国にあたり転職先を探すなかで、マネーフォワード CTO 中出匠哉氏と出会った。当時マネーフォワードでは、日本でグローバルなチームをゼロから作ることを考えていて、小牧氏のシンガポールでの経験はまさにうってつけだった。小牧氏も中出氏に信頼と関心を抱き、「シンガポールで得た経験を日本企業にフィードバックすることができたら、日本のITを強くすることができる」と感じたことが転職の動機になったという。

グローバルなチームではシンプルな英語表現の"グロービッシュ"が求められる

 マネーフォワードがグローバル化を目指す理由は主に2つある。1点目はIT人材を増やすため。事業領域の拡大やサービスの開発スピードを加速するために、より多くのエンジニアの力が必要となる。しかし、日本語が話せる外国人は限られているため、採用の幅を広げるために言語の壁を取り払うことにした。実際に現在の募集条件が日本語必須ではなくなっている。2点目は副次的に、AIやMLなど最先端技術系のエンジニアを増やすため。日本では母数そのものが少ないが、グローバル化すればより多くの採用を見込めるためだ。

 グローバル化を進めることで、外国人エンジニアを採用しても即座に働ける状態にすること、あらゆる手続きやコミュニケーションを英語とすること、職場環境やマネジメント層が多文化となるような理想像を描いている。

 理想を実現するためには英語の公用化が欠かせない。マネーフォワードのアプローチは、まず英語話者のチームを社内に作り、ここからグローバルなノウハウを拡大させようとしている。既存の多くの日本人エンジニアには英語力向上のための支援を提供する。業務時間内の英語学習を認め、費用も会社が負担する。

 最近ではWeb会議で字幕を表示する機能や、文字起こしや文法チェックのためのツールも多種多様にある。翻訳系のツールは次々にいいものが登場するため、常にアンテナを張っておきたい。

 またマネーフォワードでは英語はネイティブの高度なレベルを目指す必要はない。むしろ「非ネイティブ同士のコミュニケーションを想定した英語(グロービッシュ)」を重視している。確実に伝わるようにシンプルな単語と表現で、難解な言い回しは使わない。小牧氏は「採用面接では英語が母国語のアメリカ人やイギリス人でも、グロービッシュが話せるかは採用の必須項目にしています」と言う。

 エンジニアから見て、所属企業がグローバル化に向かうことで得られる恩恵には何があるだろうか。小牧氏は一次情報を取得できることと多文化を体験できる面白さを挙げる。

 「日本人エンジニアって恵まれているんですよ」と小牧氏は言う。日本では日本語化されたITの教材や動画が充実しており、日本語でも最先端技術をキャッチアップできる環境がある程度整っている。

 これがベトナムやインドだと、日本のようにはいかない。ベトナム語やヒンディー語など母国語でのIT教材は充実していないため、英語の文献に頼らざるをえなくなる。言語の壁はあるものの、壁を越えれば一次情報にたどり着くチャンスが増える。日本人は母国語での情報収集には恵まれているものの、一次情報にたどり着くチャンスという意味では不利となっている。小牧氏は「エンジニアが英語ができるようになると一次情報をとりに行けるので、外国人エンジニアと同じスタートラインに立てるようになります」と言う。

 もう1つの多文化については「もうとにかく楽しいですよ。毎日いろんな国籍やバックグラウンドがある人と話せることは、雑談のなかからでも新しい発見がありますし」と小牧氏は目を輝かせる。

 追加として小牧氏は「英語を公用語にしたほうがエンジニアに優しいのでは」との見方を示した。日本語だけではなく英語もできれば、参画できるプロジェクトやいいプロモーションなどチャンスが広がる。日本語しかできないと、チャンスが限られてしまうのだ。小牧氏は「マネーフォワードがグローバル化を決断したのはフェアネスとも関係しており、全員に平等に英語(ができれば得られる)の機会を提供しますよということで、優しい経営判断なのだと理解しています」と話す。

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日本人はハイコンテクスト、外国人はローコンテクストな文化――コミュニケーションのギャップをどう乗り越えていくか

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Onlineの取材・記事や、EnterpriseZine/Security Onlineキュレーターも担当しています。 Webサイト:http://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

鍋島 英莉(編集部)(ナベシマ エリ)

2019年に翔泳社へ入社し、CodeZine編集部に配属。同志社大学文学部文化史学科卒。

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https://codezine.jp/article/detail/15969 2022/06/08 11:00

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