年間決済処理金額13兆円超のGMOペイメントゲートウェイが抱えていた課題
GMOペイメントゲートウェイは、加盟店と各決済会社との契約、決済情報、お金のやり取りをつなぐプラットフォームとしての役割を担っている。「GMOペイメントゲートウェイや連結会社で提供しているサービスは、EC事業者や自治体など2023年3月現在約16万の加盟店で利用されています」と中川氏。
そのため、同社連結の2022年4月から2023年3月までの年間処理件数は55.3億件、年間決済処理金額にすると13兆円にも上るという。ちなみに同社連結の10年前の年間決済処理金額は約1兆円。したがってGMOペイメントゲートウェイはこの10年間で約13倍に急成長した企業なのだ。
中川氏はGMOペイメントゲートウェイに2016年に新卒で入社した。以来、オンライン総合決済サービス「PGマルチペイメントサービス」の開発・運用を担当。昨年、子どもを出産。今年5月に産前産後休業、育児休業を経て復帰してからは、QAエンジニアとして品質改善業務に取り組んでいる。
「決済サービスはますます品質が求められるようになっている。私たちはそれに応えるため、より迅速かつ効率的にモニタリングできる仕組みを構築する必要がありました」と中川氏は語る。そこで2019年6月、PGマルチペイメントサービス(以下、マルペイ)の大規模な更改をすることになった。
現在、マルペイはクレジットカード決済はもちろん、コンビニ決済やスマホ決済など30種類以上の決済手段を提供している。加盟店がマルペイを活用するメリットは、決済事業者ごとにシステムを構築したり、入金サイクルや売上金額などを把握したりする必要がなくなること。決済部分をすべて一元管理できるようになることに加え、契約も一本化され決済の締め日や入金日の統一、入出金管理の手間も削減されるからだ。
「従来、マルペイのシステムは1つのアプリにさまざまな決済手段の機能を集約していたため、一つの不具合が全体に波及したり、開発に時間がかかったりなど、課題がありました。2019年6月に行ったシステム更改において、5年後の取引量に耐えられることやこれらの課題を解決する事を目標に、決済手段ごとに細分化してマイクロサービス化を実施しました。」(中川氏)
この更改によりオンラインサーバーは3台から26台、オンラインアプリは3個から60個に急増した。これまで自力でモニタリングしていたが、マイクロサービスごとに性能面でよりプロアクティブに監視をすることが必要不可欠になった。
そこで2019年9月、マルペイを構成するマイクロサービス全体の稼働状況を可視化するため、New Relicを導入した。「稼働率99.999%以上、性能に関する問題解決時間50%以上短縮、性能関連のインシデントゼロの目標達成を目指し、運用を開始しました」(中川氏)
さらに2023年からはマルペイ以外のサービスにも順次展開しており、「結果的に当社全体のサービスレベルの維持につながっている」と中川氏は満足そうに話す。