一緒に手を動かし、チームとともに成長するマネージャーへ
それでは、マネージャーになって10カ月という新米マネージャーの和波氏の場合はどうだろう。和波氏は、新卒時からの上司の退職に伴い、マネージャー職へと昇格した。しかし、「その上司がいて当たり前で、その人に認められることが一つの目標だったため、次に何を目標とすべきか考えさせられた」と語る。
「偉大な上司の後任ということで自信がなかったため、2年間の準備期間で、これまで以上に多くの製品知識を身に着け、ソースコード読解などを頑張った。実際には初めて見る仕様や見たことのないソースコードについて質問を受け、自分はわからないものの答えを求められる苦しさに戸惑った」と和波氏。マネージャーとしての業務も増え、手が回らなくなったときには、周りの先輩からアドバイスをもらうことで乗り切ってきたという。
和波氏は「ずっと慕ってきた人が上司だったため、マネージャーは絶対的な存在で、自分もそうなりたいと思っていた。自分自身を勝手に追い込んでいたところがあったが、自分も分からないものは一緒に手を動かし、それを見せたらよいというアドバイスに基づき、今では課題をメンバーと一緒に解決するようにしている。メンバーの近いところで成長を実感できるのが楽しい」と語った。
丸山氏は「確かに圧倒的なリーダーシップがあるマネージャーは安心感があるが、つい頼りすぎてしまいがち。しかし、和波氏のような自身も一緒に成長できるマネージャーのあり方も素敵」と語る。丸山氏もまた、産休前にマネージャーだったのが、育休復帰時に希望してプレーヤーになり、再びマネージャーになった。マネージャーに戻ったきっかけが、新たなチームに入った際にやりづらさを感じたことだという。
「シニアメンバーたちが各々のサブシステムを守り育て、凄腕のマネージャーが統率する状態だったため、チームメンバー間の状態や課題が見えにくくなっていた。新参者としてやりにくさを感じつつ、状況に気づきつつも変えられない自分にもモヤモヤしていた。そんな時に新たなメンバーが相次いでチームに合流し、仕事をしやすいチームにしたいと考えた。また、凄腕マネージャーの退社という激震もあり、チーム内の風通しを良くして、ベテランも新人もサブシステムを越えて連携しやすくしたいと、希望してマネージャーへのキャリアチェンジを図った」
その結果、まだ試行錯誤中というものの、メンバー間で相談やペアワークが盛んに行われ、いい雰囲気になりつつあるという。