IBMフェローの肩書きを持つWebSphere CTO、Jerry Cuomoが、ポッドキャストのホストScott Laninghamとオープン・ソース・プロジェクトおよびAjax Resource CenterのdeveloperWorks編集者であるDenise Ruterboriesのインタビューに応じて、Project Zeroの概要を語ります。Project Zeroは、Web 2.0とその先の展開を焦点としてIBM内で始まったアジャイル開発のインキュベーター・プロジェクトです。Cuomoはこの13分間のポッドキャストで、Webの社会的側面、開発プロセスの簡略化、そしてコミュニティー主導型開発プロセスを利用した新しいビジネス・モデルの出現について語っています。
Laningham: 皆さんがお聴きのこのdeveloperWorksインタビューでは、技術界の著名人や思想的リーダーをさまざまな専門分野からお招きし、技術の専門家にとって興味深いトピックについて意見を伺っています。ホストは私、Scott Laninghamです。今日出演していただくのは、IBM FellowでWebSphereのCTOでもあるJerry Cuomoです。ようこそ、Jerry。
Cuomo: こんにちは、Scott。お招きありがとうございます。
Laningham: そして今日はもう1人、オープン・ソースとAjax関連のdeveloperWorks編集長を務めるDenise Ruterboriesにもお越しいただいています。今回Deniseにはホスト役に回ってもらい、専門的知識で話題を提供してもらいます。また出演してくれてありがとう、Denise。
Ruterbories: こちらこそ、お招きありがとうございます、Scott。
Laningham: さて、今回私たちが話題とするのは、Project Zeroです。私が聞いたところ、Project Zeroはコミュニティー主導型開発という表現で説明されていました。そこから連想したのがalphaWorksというIBMで成功をおさめた早期採用プログラムです。そこでJerryにお願いしたいのですが、私たちの基礎知識として、Project Zeroとは一体どういったものなのか説明してもらえませんか。
Cuomo: もちろんです。まず、Project Zeroは私たちが約1年前にIBMで開始したインキュベーターです。実際、alphaWorksとdeveloperWorksからアイデアを得ています。私たちが目的としているのは、このアイデアを完全に内部で隔離して育成し、完成させることではなく、外部の世界に公開して私たちがProject Zeroと呼んでいるこのコンセプトを発展させていく中で、コミュニティーが思考プロセスの形成と方向付けをしていくことです。
Laningham: このプロジェクトには明らかにWeb 2.0との強力なつながりがあるということはわかりますし、またこのポッドキャストでも過去数ヶ月にわたって多くの人々がWeb 2.0について話してくれました。最近で言うと、IBM CIOテクノロジー・チームのDave Neuboldもその1人です。そこであなたの考えをお聞きしたいのですが、IBMにとってWeb 2の開発は何を意味するのでしょうか?
Cuomo: 確かに、Project Zeroについてほんの少し説明するだけでも、さまざまな側面でWeb 2.0に対する大きな影響が見えてきます。実際のところ、Web 2.0は一種の抽象的な考え方ですが、IBMでは具体的に捕らえていて、私たちがWeb 2.0について考えるときには多くの視点から検討しています。
その1つは、社会的側面です。Web 2.0には社会的側面があり、そこにはWebを中心としたコミュニティーの集団知能を利用するという考えがあります。これは確実に1つの視点として挙げられます。別の視点としては、Webをコンピューティング・プラットフォームとして使用するという考えもあり、この考えを実現できれば世界の簡素化につながるはずです。実現可能な方法を示す使用事例は数多く実在していると思います。そして、おそらく3番目の視点として私たちがWeb 2.0モデルに関連して注目しているのは、新しいビジネス・モデル、つまりWeb上での新しいビジネスの方法です。この方法では、オープンなコミュニティー主導型開発からサービスとしてのソフトウェアまでのあらゆるものを、サブスクリプション・ベースのモデルにします。例えば、永続的なデータを早期に調べてサブスクライブすると、製品のライフサイクル全体をとおしてそのデータを追跡できるといったモデルが挙げられます。
Ruterbories: 新しいビジネス・モデルがWeb 2.0開発の顕著な特徴だということですが、このコミュニティー主導型開発モデルについてもう少し詳しく説明してもらえますか?
Cuomo: もちろんです。