フランスに本拠を置くタレスは、テクノロジー・サイバーセキュリティ・アイデンティティに関する2024年の予測を、1月18日に発表した。
同社の予測によると、テクノロジー分野では、量子コンピューティングの重要性が認識される。2024年には標準規格の合意も予定されており、これにより専門家だけでなく大手企業の意思決定者にも注目されると考えられている。また、「公開鍵暗号基盤(PKI)」、「TLS暗号化」、「ブラウザ」、「コード署名」の4分野では、ポスト量子暗号に対する関心が高まり、ビジネスの差別化要因としても重視されることが見込まれている。
また、ネットワークエッジでの人工知能(AI)の導入が進む中、2024年には開発モデルのトレーニングと導入処理がエッジと顧客のオンプレミスに移行すると予測されている。これにより、大規模言語モデル(LLM)におけるセキュリティ上の懸念が軽減され、データセットをアップロードせずにモデルをトレーニングできる利点が得られる。
加えて、機械学習(ML)とAIの進展では、ビジネスにおける人間と自律システムのコラボレーションが増加すると予測されている。MLとAIの進歩に伴い、これらのネットワークを統治・管理・保護する手段が求められる。
サイバー攻撃の分野では、2024年もゼロデイ攻撃を利用したランサムウェアが増加する見通し。企業のリスク評価の難しさや政府の対応不足がその要因とされている。
さらに、2024年には開発エコシステムで「パスワード」「APIキー」「認証情報」など「シークレット」と呼ばれる要素の管理が中心となると予測されている。ソフトウェア開発プロセスにおいて、パブリックコードリポジトリに保存されたシークレットを保護していく必要性が強調されている。
アイデンティティの分野では、AIの普及に対応した、本人確認に関する新しい法律の制定が求められる。AIを利用した偽装やなりすましは新たな脅威であり、対抗策としての新たな法律の必要性が高まる。
また2024年には、同期されたパスキーがデジタルバンキング領域を支配すると予測されている。金融部門では、多要素認証や新しい標準に対応しつつ、セキュリティと使いやすさを確保することが課題。
加えて、デジタルアイデンティティとデジタル通貨の技術、および関連協定が進歩するにつれて、2024年にはデジタル通貨も大きく発展するとみられている。
最後に、データ主権の重要性が高まる中、2024年には暗号化と署名キーがアイデンティティとデータのセキュリティに本格的に活用される見込み。企業がキーマネジメントシステムを導入することで、パブリッククラウドへの移行の障壁が低減し、データの主権に関する保証が向上することが期待されている。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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