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エンタープライズシステムのためのマイクロサービスアーキテクチャの実現

ESB/EAIを利用し、データ連携とコンポーネントで成長するシステムを構築する

エンタープライズシステムのためのマイクロサービスアーキテクチャの実現 第3回

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ESB/EAIの動作形態

 前回はESBとEAIの機能や目的の違いについて簡単に説明しましたが、今回は動作形態の違いにフォーカスを当てて説明します。ESBやEAIを導入するというと、SaaS型やパッケージ型だけのように思いがちですが、図9のようにエンジン型のように既存のアプリケーション内部に組み込む方法もあります。

図9:ESB/EAIの形態
図9:ESB/EAIの形態

 利用用途や目的に応じて、どの形態がよいのかを検討してみます。

SaaS型/パッケージ型

 SaaSやパッケージ型のESBサービスには、以下のようなものがあると前回も紹介しました。

 どちらも、そのシステム内に別のシステムを組み込むことを前提もしくは主な目的としたものではありません。一方、「ノーコード開発」であったり、既存のサービス、特に日本にしかないサービスとの連携は充実しています。

 特に最終的な出力に日本特有のサービスと連携したり、RPAやオフィス業務と連携したい場合には、こういったサービスは有効だと思います。しかし、この記事の趣旨である自社で開発したマイクロサービスと密に連携したいケースでは少々、目的は異なると思います。

フレームワーク/エンジン型

 フレームワーク/エンジン(ライブラリ)型にも大きく分けて以下のように2つの種類があります。

  • 統合型バックエンドシステムフレームワーク(アプリケーションフレームワーク上に配置して動作)
  • ライブラリとして提供(内部でEAIエンジンとして利用されることが前提)

 例えば、Red Hat Fuseが統合型バックエンドシステムフレームワークにあたりますが、その中には、Apache CamelというオープンソースのライブラリとしてのEAIエンジンを内包しています。

 また、MuleSoftという会社では、自社で有料の統合型バックエンドシステムフレームワークとしても提供していますが、一方で無料版としてもMule Kernelとしての提供しています。

 従って、ライブラリとして導入しEAIエンジンとして組み込んでから、後で有料版へと引き上げるという方法もあります。筆者がいる会社で主につかっているのは、Apache Camelになります。

エンジン型の利用例

 Apache Camelを前提に記述しますが、オープンソースといってもさまざまな連携コンポーネントがすでにあり、300以上もの連携コンポーネントをそろえています。

 例えば、Google Calendarに予定タスク情報を追加したいといった場合でもGoogle Calendarコンポーネントを使えば良く、個別の開発をせずにすみます。

 また、エンジン型でもあり、オープンソースという利点もあるため、筆者はよく図10のようにマイクロサービスにEAIエンジンを内包してEAIの強みである既存の連携コンポーネントを使います。

図10:EAIエンジンを内包したマイクロサービスの構築
図10:EAIエンジンを内包したマイクロサービスの構築

 このようにすることであたかも、1つのマイクロサービスの機能自体がESB/EAIシステムの1つの部品機能のように見なせます。先ほど紹介した「ファイルの保存」や「通知機能」のためだけにESBシステムを別に1つ構築するとなると何やら大げさに感じますが、エンジン型を採用すれば途中でDBなどのようなアプリケーション依存の入力処理を途中にいれてもそれほど、複雑化せずに実装可能です。

 ただし、このようなEAIエンジンを導入しながら、多くの内部環境に依存するとどんどん利点が薄れていき、また、異なる実装方法ができてしまうので、余計に複雑化していく可能性があるので注意は必要です。

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マイクロサービスの機能を再整理する

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WINGSプロジェクト 小林 昌弘(コバヤシ マサヒロ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

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