OSPO設置への一歩を踏み出すために必要なこと
──開発者にとって魅力的なOSPOですが、まだ設置している日本企業は少ないです。設立に向けた一歩を踏み出すにはどうすればよいでしょうか。
中村:OSPOは開発者だけではなく、ビジネス側の理解も必要です。ビジネス戦略とOSS活用をうまくつなげられる人をいかに見つけるか。そこが全てだと思います。その場合も1人ではなく、複数の人を見つけて、仲良くなることです。そういう社内ロビー活動は非常に大事だと思います。一方、そういう人がいないのであれば、自分でビジネスを作って回すのも良いでしょう。
古山:ビジネス側の人たちと継続して会話して、一歩一歩進めて信用を勝ち取るのは重要ですね。ビジネスにつながることを認めてもらい、かつその状態を保っていくことが大事だと思います。
中村:一種の「外圧」を利用するのもいいかもしれません。例えばコミュニティでOSS活用に積極的な企業の友だちをいっぱい作るんです。そういう地道な努力が必要だと思います。
一方で、そもそもそういう苦労をしないためにも、私たちはOSPOがあることが当たり前の状態、業界の標準にしたいと考えています。息を吸うようにOSSへの貢献ができる世の中にしていきたいんです。だから日立社内だけではなく、業界全体でOSSの活用や貢献が進むように頑張って取り組んでいきたいと思います。
古山:エンジニアが余計なところで苦労するのはおかしいと思うので、全体を変えていきたいですよね。
──OSSへの貢献が息を吸うような世の中にしていくために、一開発者としては何から取り組んで行けばよいでしょうか。
中村:コミュニティに参加するのが一番手軽だと思います。キーパーソンがたくさん集まっているので、良い刺激を受けられると思います。
古山:特に、自分が普段、もしくは仕事で携わっている分野のコミュニティは参加しやすいと思います。そこからコミュニティ活動を始めてみてはいかがでしょう。
中村:例えばThe Linux FoundationのOpen Source Summit、今年はCNCFが初めて日本で開催するKubeCon + CloudNativeCon Japanなど、良質な情報が得られるので参加したいと思っても、それなりの費用がかかるので諦めていた人もいるでしょう。ですが、SNSなどでつぶやいてみると、それを見た人がThe Linux Foundationの旅費支援制度への申請の仕方を教えてくれるなど、いろんな手があるようなので、そういう意思表示をしてほしいと思います。