たとえ計画通りにいかなくても、キャリアプランを立てよう
これまでの2人の話でも上がっていた通り、技術トレンドはエンジニアのキャリア形成に大きな影響を与えるものである。今、無視できないのは、言わずもがな“生成AI”の隆盛だろう。
データベースが専門領域の高島氏は、「クエリを書いたりベクトル検索をしたりする際に生成AIを活用している。もはや他人事では済まされないし、やらざるを得ない状況になっている」という。また、Google の生成 AI Gemini のプリセールスである岩成氏も「『生産性を上げて担当領域を広げる』『アウトプットのクオリティを上げる』『自分が苦手な分野や未経験の分野に挑戦する』といった観点で、やはり生成AIは欠かせない」と語る。
こうした技術トレンドを追いかけることに加え、2人が必要性を示したのが、業務外でキャリアプランを立てることだ。25〜26歳くらいまでは流されるままだったという高島氏だが、「ここ数年はマンダラチャートを書いている」と明かす。「真ん中に『つよつよエンジニアになる』とか『スーパーSREになる』などと書いて、そのために必要だと思われるスキルや興味のある分野をひたすら挙げていく。その際に気をつけているのは、フルスタックエンジニアのようなジェネラリストは目指さないこと。好きな技術に注力してスペシャリストになってから、その派生で広げていくようにしている」。
これに対し岩成氏は、米国の第34代大統領ドワイト・アイゼンハワーの「計画に価値はないが、計画立案の過程にはあらゆる価値がある」[1]という言葉を用い、キャリアプランを立てる重要性について次のように説いた。「キャリアプランを立てても、たいていその通りにはいかない。だが、計画を立てることによって、次に何をするのか、どこに時間を投資すべきなのかが見えてくる。社内で目標設定を行うことはあると思うが、それだけでは社内の業務に関する話題に閉じがちであり、現在の会社では実現可能性の低いことに言及するのは難しいかもしれない。だからこそ、できれば1年に1度、難しければせめて数年に1度の頻度で、自分のキャリアプランを書き出す時間を設けるようにしている」と語り、セッションを締め括った。
[1] 原文:Plans are worthless, but planning is everything. 翻訳は『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』記事「先行き不透明だからこそ、明確なビジョンを掲げなさい」から引用。