自動運転を支えるバックエンドの技術課題
最後に紹介されたのは、自動運転を支えるバックエンドの技術的課題とその展望だ。
まず重要になるのが、リアルタイムデータの処理パイプライン構築だ。とりわけ自動運転における経路探索では、地図に更新が入れば、探索アルゴリズムも適宜見直す必要がある。これが一般的なルーティングと異なる、自動運転特有の要件となっている。
もう一つの鍵が、OTA(Over-the-Air)によるソフトウェアアップデートをいかに安定的かつ効率的に行うかという点だ。特に将来的に自動運転が社会インフラの一部となれば、クラウド側の更新によってサービスが停止するような状況は許されない。いわゆる「ゼロダウンタイム」の実現は、開発・運用の両面で極めて高い技術的要求を伴う。
なおティアフォーでは、ヤマハ発動機との合弁による工場内搬送ロボットのサービスにおいて、すでに24時間365日稼働を実現しているといい、「今も鋭意、改善に努めている」と飯田氏は胸を張った。
こうしたバックエンド領域では、まだ業界標準やベストプラクティスが確立していない部分も多いため、「開発者にとってはまさに試行錯誤のしがいがある、チャレンジングな領域」と飯田氏は熱を込める。
「自動運転の社会実装には、自動車業界だけでなく、IT、Web、交通、MaaSなどさまざまな業界の連携が必要になる。これまで自分には関係ないと思っていた方にも、自動運転が案外身近な存在であることを感じてもらえたら嬉しい」
未来の交通インフラは、異分野の知見と挑戦の連続でつくられていくのだ。