SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

キーパーソンインタビュー(AD)

残業が0でも生産性5倍に!全社AI導入を推進するジーニー・CTOが語る次世代エンジニア像と組織のあり方とは?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 近年、目覚ましい勢いで進化を続ける生成AI。多くの企業がその導入を検討する一方で、エンジニアの中には生成AIとの連携方法に苦慮する人も少なくない。全社にAIを導入するにはどんな環境、仕組みが必要なのか。AI活用でエンジニアの組織、キャリア観はどう変わるのか。ジーニーCTOの孟祥梁(もう・しょうりょう)氏に話を聞いた。

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

アドテク分野でAI活用を推進するジーニーCTO・孟氏

──これまでのキャリアを教えてください。

 中国・上海出身です。大学で日本語を専攻した際、うまく日本語を話せるようになりたいと思い、日本に語学留学しました。しかし語学留学中に大学を中退し、その後はソーシャルゲーム会社やインターネット広告会社など、大手からベンチャーまで幅広い事業領域でエンジニアを経験してきました。CMS(コンテンツ管理システム)の開発に従事したことをきっかけに、アドテクノロジー(以下、アドテク)分野のキャリアを積むことになりました。

 その後、アフィリエイトサービスを開発している企業に転職し、アフィリエイトシステムやDSP(Demand Side Platform:インターネット広告の費用対効果の最大化を目的としたプラットフォーム)のデータ基盤、さらにはAI推論など、かなりディープなアドテクの仕組みを経験しました。

 自社プロダクトを開発できる環境に惹かれ、ジーニーに入社しました。参画後は、データ基盤やサイエンスチームをゼロから立ち上げました。

──CTOとしてはどんなことに取り組んできたのでしょうか。

 最初に取り組んだのは、データ基盤の統合です。継続的にこのプロダクトを改善し続けられるような仕組みも作りました。

 また、ジーニーのグループ会社である、AIを活用したプロダクト開発・販売を行うJAPAN AI株式会社のアドバイザーも務めています。ジーニーグループ全体へのAIコーディングの推進、さらにはJAPAN AIと一緒に、AIモデルのファインチューニングを行っています。

株式会社ジーニー CTO 孟祥梁氏
株式会社ジーニー CTO 孟祥梁氏

どんな挑戦でも支援するジーニーのエンジニア組織とは

──ジーニーのエンジニア組織の規模、およびチーム構成を教えてください。

 約3年前にOKR(Objectives and Key Results)を導入しました。評価制度が刷新されたのを機に、これまで全社共通のR&D組織としてまとまっていた開発部隊をプロダクト別のチームへと再編成しました。とはいえ、AI基盤やデータ基盤、生成AIなどの共通部分については車輪の再発明にならないように、機能別のチームも編成。一部のエンジニアにはプロダクト別と機能別の双方を兼任してもらっています。

 例えば、生成AIに携わるJAPAN AIチームは、法人が生成AIを容易に活用できるサービスを素早く開発、展開することが求められます。生成AIという最先端技術に触れながら、柔軟な開発が必要です。

 またアドテクチームの場合は、1秒間に最大数十万ものアクセスをさばきながら、AIを活用し、アドテクの効果を最大化する状態を常に保つことをミッションとしています。このチャレンジもエンジニアにとっては面白いことだと思います。

──組織の特徴として1つ挙げるとしたらどのようなところでしょうか?

 エンジニアに与えられる裁量権が大きいことです。これは、スピード感を持ってイノベーションが起きやすい状況を保つためです。

 もちろん、新しいチャレンジにはリスクも伴います。そこでリスクを最小限にするための仕組みを用意し、新しいチャレンジがどのくらいインパクトを与えられるかをABテストなどを用いて、定量的に計測できるようにしています。

 実は、ジーニーのプロダクトのメインロジックは、当時の新卒1年目のエンジニアが提案してくれたものです。年間の売り上げが数十億円のプロダクトに自分のロジックが適用される。このようなチャレンジしやすい、イノベーションを生みやすい環境があるのは、ジーニーの強みだと思います。

AIコーディングを全社的に導入。導入時の課題、得られたメリットとは?

──AIを活用した開発環境について具体的に教えてください。

 全社に導入したのはCursorです。まずは私が複数のツールを選定しました。その後、少人数のチームでPoCを行い、使い勝手や生産性を検証しました。具体的には生産性がどのくらい向上したか、数字で表してもらって集計しました。7倍向上したという人もいれば、2倍と回答した人もいましたが、平均すると5倍という結果になりました。その結果をもとにマネージャーが集まる会で、全社導入について意見を聞き、展開することになりました。

──Cursorをどのように使っているのでしょうか。

 Cursorはコード生成、AIコーディングに活用しています。Cursorのチャット画面に「こんな機能を作ってほしい」と要件を投げると、10数秒後にはその要件を満たすコードが返ってきます。従来、2日間かかっていた作業が、10秒ぐらいで返ってくる。この仕組みを使うことで、10倍以上、場合によっては50倍など桁違いの生産性向上が期待できます。

 また、生成AIの活用で最も重視しているのは、セキュリティです。Cursorはオプトアウト(利用時に入力したデータを学習用データとして提供しないことを選択できる機能)を設定しています。お客様の個人情報がAIの学習に使われないよう、しっかり管理して活用しています。

──生成AIの活用でエンジニアの働き方は変わりましたか。

 今はコーディングの大半はAIが担っているので、人間の役割はAIが出した成果物をチェックしたり、次にやるべきことを考えたりすることです。コーディングの負荷やストレスは減りましたが、ロジックやアルゴリズムを考えるなど、新規性やクリエイティブ性を要する時間が増えたと思います。

──AI活用を推進する上での難しさや課題はありますか。またあったとしたらそれをどう克服したのでしょうか。

 AIコーディングを推進する上で、一番苦労したのは、取り組む意義やビジョンを説明し、皆に納得してもらうことです。「今はAIも嘘をつくこともあるかもしれないが、5年後、10年後にはAIコーディングによる開発速度が今の100倍になるはずだ」とビジョンを示すだけではなく、エンジニアとしてキャリアを築いていく上でも、身につけないと損をすると話しました。

 このような具体的な話をすると同時に、活用方法のレクチャーもしました。現在、ジーニーの生成AIを活用したコーディング率はほぼ100%です。

 しかし、Cursorを導入した当初は、Copilotと同様にコードの補完機能しか使っていませんでした。そこでエンジニア全員が参加する月に一度の「R&D全体会」で、チャットを使ってコードを生成する方法を共有しました。とにかく細かくいろいろな機能を共有することで、導入を進めていきました。今はまだ個人の使い方の上達によって生産性にバラツキはありますが、その差を埋めるために、全体の会議の場を使って情報共有を図っています。

チャレンジを成功に変えるエンジニアの特徴とは?

──ジーニーの組織風土やカルチャーを形成するために意識的に取り組んでいることはありますか。

 ジーニーのプロダクト環境は非常に大規模で、オンプレミスからクラウドまでアーキテクチャもさまざまです。マーケティングテクノロジーに関する技術はもちろん、生成AI活用など、エンジニアが身につけたいスキルやキャリアを実現するための環境が整っています。例えば、フルスタックエンジニアを目指しているのであれば、ジーニーで実現できると思います。

 組織風土やカルチャーの形成で意識しているのは、チャレンジする気持ちを醸成することです。チャレンジすることによってバグや故障などのリスクが起きたとしても、マイナス評価にならないようにする仕組みを設けています。これは、ジーニーが大切にしている9つのValueの1つに「Challenge(チャレンジ)」が掲げられているからです。チャレンジする人は間違いなく評価され、活躍しています。

 とはいえ、何でもかんでもチャレンジできるわけではありません。そこで大事になるのが、コミュニケーションです。取り組みたい理由、見込める成果などを定量的に可視化して説明できる能力も必要です。

──チャレンジ精神があり、しかもそれに理由づけできる人が活躍できると。

 その通りです!さらに言うと、ゲームチェンジャーになれる人です。すでに安定しているものや当たり前になっているものに対して、イノベーションを起こせる人です。

 実際、月間で500万円ものコストを削減する斬新なアイデアを新卒入社3年目のエンジニアが出してくれたこともありました。イノベーションを起こすようなアイデアに対しても、年齢を問わず、受け入れるような風土があります。

──そんなチャレンジ精神溢れる風土、かつ最先端技術に触れられる魅力的な開発環境が用意されているジーニーでは、どんなエンジニアが求められるのでしょう。

 従来は実務経験を重視していたのですが、今は「With 生成AI」という環境なので、勉強が好き、新しい取り組みが好きな方を求めています。そして世界を変えるプロダクトを一緒に作りたい方ですね。

 ITの知識が無い人は難しいのですが、バックエンドやフロントエンドの経験が1年以上あれば、With 生成AIの環境で自ら勉強しながら成長していけると思います。

AI活用でクリエイティブ性の高い仕事に集中できる未来を目指す

──今後、注力したい領域や展望について教えてください。

 現在注力しているのは、JAPAN AIが提供しているAIエージェントの領域です。これから、AIエージェント型のコーディングが普及し始めると予想しているからです。

 例えば、退勤前にAIエージェントに指示を出しておけば、翌日はAIが書いたコードを人がチェックする。さらに進化すれば、PMなどの非エンジニアが「この機能をこういう風にしてほしい」と指示するだけで、AIエージェントがタスクを自動的に走らせ、1時間後には機能を実装したコードが返ってくる世界が実現することも考えられます。

 このように、これまで人がやっていた煩雑な仕事をAIに代替させることで、生産性の向上はもちろん、人がクリエイティブ性の高い仕事に集中できるようになります。ジーニーはこのような世界の実現を目指していきたいと考えています。

 生産性が上がることで、ワークライフバランスも充実します。実際、既にジーニーのエンジニアの残業時間はほぼゼロです。エンジニアの皆さんが楽しんで働ける環境にしたいと考えているのです。

 ジーニーは、エンジニアのキャリアについても真剣に考えるテクノロジーの会社です。一緒に楽しいこと、面白いことをやっていきたい方、尖ったことにチャレンジしたい方は、ぜひジーニーにジョインしていただけると嬉しいです。

ジーニーではエンジニア採用を強化しています!

 グループ全体で20以上のプロダクトを自社開発・提供する株式会社ジーニー。多くの開発ポジションがあり、様々な言語やフレームワークに関わることもできます。成長と挑戦の機会に溢れるジーニーで一緒に働きませんか?詳しくは採用ページからご連絡ください。

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

提供:株式会社ジーニー

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/21757 2025/07/15 12:00

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング