組織構造ではなく、システムの構造に合わせる
現状打破に向けたもうひとつの取り組みが、システムの刷新だ。
従来のシステムはJ2EEベースのモノリシックな構造で、クライアント層からアプリケーション層、プレゼンテーション層、ビジネスロジック層、データベースまで、すべてがオンプレミス環境の同一インスタンス上に載っている。ごく一部の改修であっても、全体を見直さなければならない状態で、開発や運用においてとても非効率な環境だった。
そこで採用したのが、段階的に既存システムを置き換えていく「ストラングラーパターン」だ。まずは静的ページが中心のWebクライアント層を切り出し、AWSのS3への移行を進めている。また、それと並行してノーコードツール「Studio」の導入も行った。これにより、エンジニアではないメンバーも、Webサイトの構築や公開、運用が可能になった。「数少ないエンジニアに、すべての開発業務を任せていては負担が大きすぎる」エンジニアの人数がボトルネックにならないように、現実的な打ち手を選んだ。
本命は、当然ながらアプリケーション層の刷新だ。ここでは、開発頻度が高く、かつ事業インパクトの大きいドメインから優先的に着手している。現在は、プレゼンテーション層の分離や、頻繁に機能追加が行われる領域の切り出しが進行中だ。
将来的には、ドメイン単位で組織を編成し、各ドメイン内で完結する機能開発を担う「フィーチャーチーム」を設置する考えもある。これにより、これまで組織構造に引きずられていた開発体制を、システムの構造に合わせた柔軟なものへと再構成していく。
「アーキテクチャを含めてシステムを刷新することで、技術の視点から組織そのものを変えていける。技術改革を足がかりに、組織のあり方そのものを見直すという、非常に貴重な経験をさせてもらえている」と巣籠氏は語る。
開発効率を高めたいという思いは、多くの企業に共通するものだ。ただし、それを実現するためには、体制だけ、あるいはシステムだけを変えれば済む話ではない。マルイユナイトの取り組みから見えてくるのは、どちらか一方の変化がもう一方の変化を促し、互いに作用しながらサイクルとして動いていくことの重要性である。
今回の事例は、あくまでもひとつのケースにすぎないが、同じように現場で課題に向き合っている人たちにとって、何かしらのアイディアやヒントの種になればと巣籠氏は締めくくった。
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