開発者向け新発表「Rovo Dev」と「ソフトウェアコレクション」
「Team '25 Europe」の発表の核心は、開発者向けの「ソフトウェアコレクション」と「Rovo Dev」だ。
「ソフトウェアコレクション」は、ソフトウェア開発チームに必要なツール群を統合したものだ。Gitリポジトリ管理の「Bitbucket」、CI/CDの「Bitbucket Pipelines」、内部開発者プラットフォームの「Compass」、そして買収した開発分析ツール「DX」などが含まれる。

このコレクションの中核となるAIエージェントが、今回一般提供(GA)が開始された「Rovo Dev」だ(開発者1人あたり月額2,730円)。Rovo Devは、コード生成だけでなく、プランニング、レビュー、ドキュメンテーションといった開発ライフサイクル全体を、Jiraやリポジトリと緊密に連携しながら支援する。
説明会ではRovo Devのユースケースが紹介された。
例えば開発者がCLIで「担当しているJiraチケットを教えて」と尋ねると、Rovo DevがJiraに連携し、アサインされているタスク一覧を表示する。
さらに「このチケットのコードを生成して」と指示すると、Rovo DevはJiraのチケットに書かれた仕様を理解し、Bitbucketなどのリポジトリから関連コードを取得。仕様に基づいたコードを生成する。
また、Rovo Devは生成したコードに対し、ユニットテストの実行までを提案し、実行する。
そして、実装とテストが完了すると、開発者は「Jiraのタスクをレビュー中に変更して」とCLIで指示することで、Rovo DevがJiraのチケットステータスを自動で「In Review」に更新する。
このように、Rovo Devは開発者がIDEやCLIから離れることなく、Jiraのタスク管理、仕様把握、コーディング、テスト、ステータス報告までを一気通貫で実行できる環境を提供する。渡辺氏は、VS CodeやGitHubとも連携するためアトラシアン製品縛りではないとしつつも、「Jiraがあった方が価値は格段にいい」と、その優位性を強調した。
AIを決め手にクラウドへ、アジャイル開発の次なる一手
ユーザー事例として登壇したKDDI Digital Divergence Holdings 代表取締役社長 木暮圭一氏は、2013年のアジャイル開発導入時からアトラシアン製品を活用し、現在グループ4,000 ID規模で利用していると語った。
KDDIは現在、Data Center版からクラウド版への大規模な移行プロジェクトを進めている。木暮氏は「過去3回検討したが、移行が難しかった」と振り返る一方、今回移行を決断した理由として「AIが出てきて、すごくやりやすくなった」と明言。Confluenceのホワイトボード機能の有用性を挙げ、クラウド版のAI機能が移行の強力な動機になったと述べた。
木暮氏はまた、日本企業のAI活用が個人利用に留まっている現状を指摘し、「AIは組織で使って業務をシームレスにやることにしないと意味がない」と述べ、アトラシアンが目指す「コレクション」による業務連携の方向性に強い期待を示した。
