AI機能を搭載することでさらに加速──ActiveReportsを使ったレポートデザイン
続く2つ目のセッションには、メシウスのDeveloper Solutions事業部 マーケティング部でプロダクトマーケティングを担当する米井優顕氏が登壇。「AIで加速するレポートデザイン:ActiveReports for .NET 次期バージョン先行紹介」と銘打つ講演を行った。
ActiveReportsは、.NETアプリケーション開発における帳票機能をトータルに支援するコンポーネント製品で、企業システムの中核に位置づけられる帳票機能を効率よく、そして高品質にアプリケーションへと実装できるツールである。
セッションではまず、このActiveReportsにおける.NET 10とVisual Studio 2026への対応について紹介された。次期リリースの「ActiveReports for .NET」では、対応フレームワークに.NET 10のサポートを追加。また開発ツールとしてVisual Studio 2026に対応する。
「特に、複数のプロジェクトをまとめて管理できる新しいファイル形式であるSLNXのサポートが重要なポイントだ。従来のSLN形式も引き続き利用できるが、Visual Studio 2026からはSLNXがデフォルトとなる点に留意が必要である」と米井氏は語る。
また、Visual Studioで利用可能なレポートデザイナのサポートがActiveReports for .NETで追加される。これまで.NET Frameworkのプロジェクトでしか利用できなかったコード形式によるセクションレポートのデザインに、.NETのプロジェクトへの対応が加わることになる。
「今回の対応で、.NET Frameworkから.NETへのアップグレードも行いやすくなるものと思います。ぜひリリース後には、早々に.NET Frameworkから.NETプロジェクトへとアップグレードし、アプリケーションのモダナイズを行っていただければと考えます」と米井氏は言う。
ActiveReportsの次期リリースにおいて、特に注目されるのがAI機能の追加である。セッションではAIを活用した2つの新機能がデモを交えて紹介された。その1つめが「画像からレイアウト作成」である。文字通りこれは、用意した画像からレポートデザインが行えるというもので、AI機能であるAzure AI Document Intelligence(旧Form Recognizer)を利用して画像の解析を行い、解析結果をもとにレポートを自動生成できるというもの。「このとき必要となるAzure AI Document IntelligenceのAPIについては、ユーザー自身で準備する必要がある点に注意してほしい」と米井氏は指摘する。
また2つ目のAI機能は「AI表示パターン生成」である。これはAIがデータソースを解析して、レポートコンポーネントを生成するという機能。生成されるコンポーネントは、Table、Tablix、Chartの3種類である。この機能の利用には、OpenAI、Azure OpenAI、いずれかのLLMのAPIが必要で、こちらもユーザー側で準備する必要がある。
「いずれの機能もレポートデザインをこれまで以上に効率化できるので、リリース後にはぜひ活用いただければ幸いです」と米井氏は強調する。
ActiveReportsの次期リリースでは、Windows FormsやWPF、ASP.NET、ASP.NET Core、ASP.NET Core Blazorといった技術を用いた開発を、.NET 10とVisual Studio 2026の環境においてもトータルに支援する。
3つのステップで各種開発支援ツールを.NET 10/Visual Studio 2026に対応
この日、最後のセッションは、メシウスのDeveloper Solutions事業部 マーケティング部でプロダクトマーケティングを担当する氏家晋氏による「メシウス開発支援ツールの.NET 10/Visual Studio 2026 最新対応情報」と題する講演である。
そこでは、メシウスが提供する業務システム向け.NET UIコントロール製品として、Excelと互換性の高いスプレッドシートをアプリケーションに提供する「SPREAD」、入力フォーム開発を支援する「InputManPlus」、そして複数行や自由レイアウトの表画面作成と日本固有のカレンダー表示をサポートするグリッドコンポーネントセットである「MultiRowPlus」、および幅広いコンポーネントをスイート製品で提供する「ComponentOne」が、最新の.NET 10およびVisual Studio 2026にどのように対応していくのかが紹介された。
スケジュール的には、メシウスのこれら製品群における.NET 10/Visual Studio 2026への対応は、2026年から始まる予定だ。その第1弾として、1月にはComponentOneにおける.NET 10とVisual Studio 2026への対応を行う。「それに合わせてComponentOneでは、『FlexChart』に新しい種類のチャートとして二次等高線チャートを追加。ヒートマップから派生したこのチャートでは、二次元データにおいてデータの大小を色分けして描画するセル形式のチャートではなく、等高線形式のスタイルで塗りつぶす形となっていることがその特徴です」と氏家氏は紹介する。
またComponentOneの「FlexGrid」では、チェックボックスによる行の選択が追加され、行ヘッダーにあるチェックボックスのオン/オフで、行の選択/選択解除が実行できるようになる。すべての行を一括で選択あるいは選択解除することも可能である。
続く2月〜3月には、第2弾としてSPREAD、InputManPlus、MultiRowPlusにおける、.NET 10/Visual Studio 2026への対応がそれぞれ行われることになる。そして、2026年3月以降には第3弾として、Excelファイルを生成・更新するための「DioDocs for Excel」と、PDFファイルを生成・更新するための「DioDocs for PDF」という2つのAPIライブラリで構成される「DioDocs」、および先ほどの米井氏のセッションでも紹介された帳票コンポーネントであるActiveReportsがそれぞれ.NET 10とVisual Studio 2026に対応していく予定だ。
「なお、これら新製品へのバージョンアップについては、保守サービスの契約期間中であれば、別途費用を要することなく実施が可能なので、ぜひ速やかな移行を検討いただければと思います」と氏家氏は述べる。移行方法の詳細については、各製品のヘルプのほか、Webで公開される移行ガイドにも手順が記載される予定だ。また、各製品の情報ページやナレッジベース、ブログ記事においても随時情報提供がなされるので、そちらも常々参照しておくことが望ましいといえるだろう。
2026年1月からの第1弾では、ComponentOneにかかわる.NET 10とVisual Studio 2026への対応を実施。続く2月〜3月には、第2弾としてSPREAD、InputManPlus、MultiRowPlusでの対応をそれぞれ行ったのち、3月以降には第3弾としてDioDocs、ActiveReportsにおける対応が予定されている(※イベント開催時点の情報)。
氏家氏による最終セッションの終了後、イベントでは受講者からの質問に講演者が答える質疑応答の時間が設けられた。以下、そこでの主なやり取りについて、井上氏への質問を中心に、簡単に触れておきたい。
1つ目は「現在.NET Framework 4.8.1で開発したクライアント・サーバーの、Visual Basicで記述された基幹システムを運用している。これをC#を使って.NET 10用にアップグレードしたいと思うが、そもそも巨大なシステムでもあり、一気にアップデートすることが困難。順次アップデートしていければと考えているところだが、それに当たってのノウハウ等があれば聞かせてほしい」という質問だ。
この質問に対し井上氏は、「お手元のシステムのアプリケーション構成にもよるので、端的に回答することは難しい」と前置きしながら、「仮にクライアント側のアプリケーションがWindows FormsやWPFなどWindowsベースのものであれば、その部分だけを.NET 10にアップグレードするということも考えられます。そうした形で、部分ごとにアップグレードできそうなところから始めるというアプローチもあるでしょう」と回答。
また、「.NET Framework 4.8もまだまだサポートは継続されるので、順次アップデートをするという観点では、ランタイムであるフレームワークの部分を.NET 10に変える前に、まずはVisual Basicのところの言語の部分だけを、.NET Framework 4.8のままC#に変えていくというパターンも考えられます」と付け加えた。
特にクライアント部分については、Visual Basicのままランタイムだけを変えることもできるので、そのあたりの構成をよく検討して、どこから着手していくべきか最適なアプローチを調査してほしいとアドバイスした。
2つ目の質問は「Visual Studio 2026でGitHub Copilotを使って、.NETプログラムの保守開発をする際に、既存の.NETのプログラムソースがCopilotによって学習されるのか」というもの。質問者は、プライベートにプログラム開発を行いたいという意向である。
この質問にも井上氏が対応。「そのあたりについては、お客様がお使いのGitHub Copilotのプランによって多少変わってきます」と語り、例えば「Free」や「Pro」といった個人向け契約では、基本的には学習されることがあるものの、明示的にソースコードが学習されないようにするための設定項目が用意されている。それを確認して、適正に設定することがポイントになってくるという。
さらに「より安全にコード資産を守りつつ、GitHub Copilotを使いたいというケースでは、ビジネス上での利用を前提とした『Business』『Enterprise』という2種類の契約プランが用意されています。そちらの契約では、皆様のコードが基本的にはしっかりと保護され、学習には用いられません。そうした観点でプランを見直していただければと思います」と井上氏は付け加える。
3つ目の質問は、「バイブコーディングやAI駆動開発といったキーワードで、GitHub Copilotなど生成AIをコーディングに利活用していく方向性が現在、顕著なトレンドになっていこうとしています。そうした中で、Visual Studioにおいてもバイブコーディングの実践は可能でしょうか」というものだ。
これに対し井上氏は、「Visual Studio 2026の中でも、GitHub Copilotを活用してバイブコーディングを行うことは十分に可能です。例えば、本日紹介したように、テストやデバッグ、あるいはプロファイリングを生成AIによりサポートするエージェントも登場してきているので、それらをうまく活用しながら進めていっていただければと思います」と応対する。
ただ、それに当たっての留意点にも言及。「もっとも、そういったエージェントが生成するコードが100%正しいというわけではありません。当然、それをベースに開発者自身がコーディングをしていかなければならないケースも出てくるはずです。要は、全てを生成AIに委ねるのではなく、人手による作業もうまく融合しながらコーディングを効率化していっていただければと考えます」と井上氏は強調する。
すでに700万人を超える月間アクティブユーザーを擁し、オープンソースの開発コミュニティには6万8,000人超のコントリビューターが参加している.NETの世界。常に進化を遂げるその最新技術動向をしっかりとキャッチアップしながら、既存資産のメンテナンスや新規開発において、この技術を適切に活かしていくことが肝要だ。今回の「ECHO 2025」ではまさに、それに当たっての指針となる有益な情報の数々が提供されたものといえる。

