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Javaでレゴロボットを動かしてみよう!(AD)

Javaでレゴロボットを動かしてみよう! 3-応用編

マルチスレッドによるレゴロボットの制御

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今回はサンプルプログラムをいくつか紹介します。前回までに、モーター制御や光サンサーを使ったプログラムを作りました。他にもいろいろなことができますので、機能を組み合わせて使うとさらに楽しくなると思います。

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はじめに

 皆さん、こんにちは! いよいよ連載の最後となりました。今回はサンプルプログラムをいくつか紹介します。前回までに、モーター制御や光サンサーを使ったプログラムを作りました。他にもいろいろなことができますので、機能を組み合わせて使うとさらに楽しくなると思います。

前回までの連載記事

スレッドを使ったプログラム

 Javaの開発経験がある方ならば、Javaでマルチスレッドプログラミングができることをご存知だと思います。組込み機器では、例えば携帯電話でテレビを見ている最中でもメールが来たら受信するというように、マルチスレッドは製品として欠かせない機能です。以下にマルチスレッドを実現したプログラムを紹介します。

 2秒間隔でジグザグに進み、床面の明るさに応じて鳴らす音を変えるプログラムです。

 1:  import josx.platform.rcx.*;
 2:
 3:  /**
4: * ThreadSample.java
5: *
6: * 2秒間隔でジグザグに進み明るさにより音を鳴らす
7: *
8: */
9: 10: public class ThreadSample { 11: public static void main(String[] args) { 12: 13: //光センサーで値を取得し音を鳴らすスレッド 14: BeepThread beepThread = new BeepThread(); ←(1) 15: beepThread.start(); ←(2) 16: 17: //モーター制御 18: while(true) { ←(3) 19: //左に進む 20: Motor.A.stop(); 21: Motor.C.forward(); 22: try { 23: Thread.sleep(2000); 24: } catch(InterruptedException e) { 25: } 26: //右に進む 27: Motor.A.forward(); 28: Motor.C.stop(); 29: try { 30: Thread.sleep(2000); 31: } catch(InterruptedException e) { 32: } 33: } 34: 35: } 36: }
  1. 14行目
  2. 光センサーで値を取得し音を鳴らす機能をスレッドとし、インスタンスを生成します。
     
  3. 15行目
  4. start()でスレッドを開始します。
     
  5. 18~33行目
  6. モーターの制御を行います。20~21行目で左に進み、23行目でモーターを動かしたまま2000ミリ秒処理を待ちます。27~28行目で右に進み、30行目でモーターを動かしたまま2000ミリ秒処理を待ちます。結果、2秒間隔でジグザグに進みます。

 光センサーで値を取得し音を鳴らすスレッドです。

37:
38:  //光センサーで値を取得し音を鳴らすスレッド
39:  class BeepThread extends Thread {
40:      public void run() {
41:
42:          //光センサーで,Percent値を取得するように設定する。
43:          Sensor.S2.setTypeAndMode(3, 0x80);  ←(4)
44:          Sensor.S2.activate();
45:
46:          while(true) {  ←(5)
47:              //黒と判定したらビープ音
48:              if(Sensor.S2.readValue() < 45) {
49:                  Sound.beep();
50:              //白と判定したらブザー音
51:              } else {
52:                  Sound.buzz();
53:              }
54:              try {
55:                  Thread.sleep(2000);  ←(6)
56:              } catch(InterruptedException e) {
57:              }
58:          }
59:
60:      }
61:  }
  1. 43~44行目
  2. 光センサーの設定を行います。
     
  3. 46~58行目
  4. 光センサーで取得した値により音を変えます。48~49行目で黒と判定しビープ音、50~51行目で白と判定しブザー音を鳴らします。
     
  5. 55行目
  6. 2000ミリ秒処理を待つことにより、2秒間隔で光センサーによる値取得を行います。
黒の図
黒の図
白の図
白の図

ボタン操作のプログラム

 AWTやSwingを使ったGUIでは、ユーザーがボタンを押したりマウスでドラッグしたりといったアクションに応じて処理を記述する、イベント駆動のプログラミングを行いますが、レゴロボットのボタン操作も同様です。以下はボタン操作の簡単なプログラムです。

 Viewボタンを押すとディスプレイに”VIEW”と表示するプログラム

View表示図
View表示図
 1:  import josx.platform.rcx.*;
 2:  
 3:  /**
4: * ViewPrint.java
5: *
6: * Viewボタンを押すとディスプレイに"VIEW"と表示する
7: *
8: */
9: 10: public class ViewPrint { 11: public static void main(String[] args) { 12: 13: //ボタンリスナーの処理 14: ButtonListener listener = new ButtonListener() { ←(1) 15: //ボタンを離した場合は何もしない 16: public void buttonReleased(Button button) {} ←(2) 17: 18: //ボタンを押した場合はディスプレイに"VIEW"と表示 19: public void buttonPressed(Button button) { ←(3) 20: if (button.equals(Button.VIEW)) { 21: TextLCD.print("VIEW"); 22: } 23: } 24: }; 25: 26: //Viewボタンのリスナー登録 27: Button.VIEW.addButtonListener(listener); ←(4) 28: 29: while(true) { ←(5) 30: //500ミリ秒スリープさせる 31: try { 32: Thread.sleep(500); 33: } catch(InterruptedException e) { 34: } 35: } 36: 37: } 38: }
  1. 14行目~24行目
  2. ボタンリスナーのインスタンスを生成し、メソッドを実装します。
     
  3. 16行目
  4. ButtonListenerインターフェイスで定義しているbuttonReleased()を実装します。ここでは何もしません。
     
  5. 19~23行目
  6. ButtonListenerインターフェイスで定義しているbuttonPressed()を実装します。20行目で押されたボタンをチェックし、Viewボタンの場合は21行目でディスプレイに「VIEW」を表示しています。文字列のディスプレイへの表示は、TextLCDクラスのprint()を使用します。
     
  7. 27行目
  8. addButtonListener()でViewボタンのリスナーを登録します。
     
  9. 29~35行目
  10. whileループでボタンが押されるのを待ちます。32行目で500ミリ秒処理を待たせることにより、ビジーループを避けています(今回はループ処理を抜ける事は考慮していません)。

 ビジーループとは、ループ中で何の処理も行わず、CPUの使用率を高めてしまうループのことです。このような場合はsleep()を入れ、使用率を抑えます。

赤外線通信のプログラム

 レゴロボットは、赤外線通信によりレゴロボット間で通信を行うことができます。

 送信側が送ったデータを、受信側のディスプレイに表示するプログラムを示します。

通信している図
通信している図
送信側のプログラム
 1:  import josx.platform.rcx.*;
 2:
 3:  /**
4: * DataSend.java
5: *
6: * 1文字送信
7: *
8: */
9: 10: public class DataSend { 11: public static void main(String[] args) { 12: 13: //送信データの配列宣言 14: byte[] packetData = new byte[2]; ←(1) 15: 16: //1byte目は(byte)0xf7を設定 17: packetData[0] = (byte)0xf7; ←(2) 18: //2byte目に送りたいデータを設定 19: packetData[1] = 1; ←(3) 20: 21: //パケット送信 22: Serial.sendPacket(packetData, 0, 2); ←(4) 23: //パケットが送られるまで待つ 24: try { ←(5) 25: Serial.waitTillSent(); 26: } catch(InterruptedException e) { 27: } 28: 29: } 30: }
  1. 14行目
  2. 送信データの文字数+1の配列をバイト型で宣言します。
     
  3. 17行目
  4. 1バイト目は決まりごとで0xf7を設定します。
     
  5. 19行目
  6. 2バイト目に送信データ1を設定します。
     
  7. 22行目
  8. Serialは赤外線通信のクラスです。sendPacket()でデータを送信します。
     
  9. 24~27行目
  10. 25行目のwaitTillSent()でデータが送られるまで待ちます。このメソッドは、InterruputedExceptionの例外がスローされる可能性があるので、try~catch文を記述します。
受信側のプログラム
 1:  import josx.platform.rcx.*;
 2:
 3:  /**
4: * DataRecv.java
5: *
6: * 1文字受信
7: *
8: */
9: 10: public class DataRecv { 11: public static void main(String[] args) { 12: 13: //受信データの配列宣言 14: byte[] packetData = new byte[2]; ←(6) 15: 16: while(true){ ←(7) 17: //パケットが有効かチェック 18: if(Serial.isPacketAvailable()){ ←(8) 19: //パケットの読み込み 20: Serial.readPacket(packetData); ←(9) 21: 22: //受信データの表示 23: LCD.showNumber(packetData[1]); ←(10) 24: //500ミリ秒スリープ 25: try { ←(11) 26: Thread.sleep(500); 27: } catch(InterruptedException e) { 28: } 29: break; ←(12) 30: } 31: } 32: 33: } 34: }
  1. 14行目
  2. 受信データの文字数+1の配列をバイト型で宣言します。
     
  3. 16~31行目
  4. whileループで受信を待ちます。
     
  5. 18行目
  6. isPacketAvailable()でパケットをチェックします。
     
  7. 20行目
  8. readPacket()でパケットを読み込みます。
     
  9. 23行目
  10. 受信データを表示します。配列の1バイト目は0xf7なので、2バイト目を表示しますが、バイトデータの表示にはLCDクラスのshowNumber()を使用します。
     
  11. 25~28行目
  12. すぐにループを抜けると表示が確認できないので、500ミリ秒処理を待ちます。
     
  13. 29行目
  14. ループを抜けます。

 今回はループによりパケットの受信を待ちましたが、ボタン処理のようにリスナーを登録する方法もあります。

最後に

 Javaを使った組込みソフト開発体験は、いかがだったでしょうか。最後に、組込みソフト開発の特性についてまとめておきます。

  • ハードの性能が低くメモリが少ない。高度なリアルタイム性や堅牢性が求められる。
  • RCXの搭載メモリを見て驚かれた方もいるのではないでしょうか。組込み機器は、パソコンなどに比べてハードの性能が低いです。また、例えば携帯電話のキーを押してから何ミリ秒以内に反応しなければいけないというような、リアルタイム性が要求されます。
    組込みソフト開発では、限られたリソースの中で無駄のないプログラムを組んだり、厳しい要求に答えられるよう処理スピードを考慮したプログラムを組む必要があります。
     
  • 組込み機器に搭載されているハードウェアやOSがさまざま
  • 組込み機器は用途が限られているため、ハードウェアに専用の部品が搭載されることが多々あります。搭載されるリアルタイムOSの種類も多く、開発の内容によってはハードウェアやOSの仕様を調べる必要もあります。
     
  • ソフトウェアの更新/変更が困難
  • 携帯電話やカーナビなどネットワークに接続可能な組込み機器では、パソコンと同様にネットワーク経由でソフトウェアの更新が可能です。しかし、冷蔵庫やエアコンなどネットワークに接続できない組込み機器は、メーカーがソフトウェアや部品を交換する事で保守を行います。このようなことがないよう、厳しい品質評価をクリアして製品化されます。

 現在、組込みエンジニアは約10万人不足していると言われています。そして需要の増加や納期の短縮化に伴い、オブジェクト指向を取り入れる現場も増え始めています。本稿を読んで「組込みソフト開発って面白そう!」と感じた方は、ぜひ奮ってチャレンジしてみてください。

参考リンク

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/2314 2009/04/02 17:30

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