バッチ処理の監視、CI高速化、技術広報の躍進──委員会制度がもたらした効果とは
半年ごとのサイクルで運用された委員会制度は、定量と定性の両面において目覚ましい成果をもたらした。まず定量的な効果として、長年の懸案であったデータベース負荷への根本対応が挙げられる。データ量増加に伴うスロークエリに対し、約1年がかりでリードリプリカを導入し、170に及ぶAPIの向き先を改修するという地道な作業を完遂した。
また、「やばいよやばいよバッチ」と名付けられた独自の監視指標を設け、実行時間が24時間を超えそうなバッチ処理の予兆を検知する仕組みを構築した。これにより、障害が発生してから対処する「後手」の運用から、予兆を捉えて先手を打つプロアクティブな運用への転換を果たしたのである。
さらに、自社ホスト型ランナーの導入によりCIの実行時間は半減し、月額20数万円かかっていた運用コストを約8万円にまで圧縮するという劇的な成果を上げた。
定性的な効果としては、手順書と作業ログを統合した「Runbook」の整備により、属人化していた対応フローが可視化されたことや、広報委員会の旗振りのもと、年間46件のイベント登壇を実現した技術広報の躍進などが挙げられる。
しかし、これらの成果は決して平坦な道のりの上に成り立っていたわけではない。導入初期には、ミッションチーム(主務)と委員会(兼務)のタスクバランスという組織的なジレンマに直面した。経営陣が売上向上を強く求める中、ミッションチームのリーダーからすれば、メンバーが委員会の活動に時間を割くことは歓迎しづらい。三谷氏はこの壁を突破するため、全社会議などを活用した泥臭いアピールに奔走した。デプロイの安定化やAIの活用推進といった委員会の成果が、最終的にはミッションチーム自身の機能開発スピードの向上やスケジュール遅延の防止に直結するという「相手にとってのメリット」を粘り強く説き続けた。
また、現場のエンジニアが新しい技術的挑戦に踏み出す際の心理的ハードルとして「予算」の問題があった。物理PC購入や高額なAIツールの利用など、コストを理由に提案を躊躇するメンバーは少なくない。この課題に対し三谷氏は、EM自身が部門の予実管理を徹底するというアプローチをとった。常に予算の消化状況を把握し、メンバーから経費の相談を受けた際にはその場で「絶対大丈夫だからいけるよ」と即答できる体制を整えた。予算に対する権限と責任をマネージャーが引き受け、メンバーには投資に対する安心感を与えることで、お金を理由にした引っ込み思案を排除したのだ。
