クラウドメッセージング
編集部
ニコニコ動画がββにバージョンアップする際、ニコニコ生放送やニコニコ広場を説明する概念として「クラウドメッセージング」という考え方が発表されました。
杉谷
クラウドメッセージングとは、ネット上でたくさんの人がしゃべっている「群衆」を表現しようという概念です。掲示板やチャットだと、せいぜい50人程度が集まっただけで破綻しちゃうじゃないですか。でも、ニコニコ動画では時間軸が発生したことによって100人でも破綻しない。時間の重ね合わせで大量の文章がコミュニケーションできてしまうんです。
それを見たとき、クラウドメッセージングという概念に気づいてしまったわけですね。我々が。ネット上に群衆を作ってみたい。作ってみた。あれ、面白い、面白すぎると。
編集部
なるほど。
杉谷
みんななんとなくわかっていたんですが、その存在に気づいて、名前をつけた。つまり、「クラウドメッセージングという言葉があって、何かを作った」というわけではなくて、もともとあったものに、名前をつけたと。そして、それを運営企画チームなども知り、外部にも発表していこうとなったみたいです。
編集部
大人数での同期・非同期コミュニケーションという面白さを、ニコニコ動画を作ったことで新発見したわけですね。
杉谷
技術的には、運営コメントだとか、部屋割りだとか、コメントを間引いて表示するようにして、クラウドメッセージングを実現できるように工夫しています。クラウドメッセージングは会話ができるようではダメなんです。チャットは成り立たせる必要がある、ゆえに50人程度が限界になる。クラウドメッセージングは成り立たせる必要がない、だからこそ数千、数万の人が参加できるようになる。
ということで、ニコニコ生放送は最初から1000人、2000人と大量のユーザーが参加するということを主眼に考えていました。「50人レベルなんて知らない、大規模上等」という感じで。クラウドメッセージングはニコニコ動画サービス全体で実現していくことなんですが、今後もこの概念に基づいてサービスを開発していくと思われます。
といっても、まあ、まずは広場や生放送ですかね、伸ばしていくのは。もちろん僕個人としては、「ユーザー生放送が本家を抜かして天下取るよ」と言わざるをえませんがね。
今後のユーザー生放送は?
編集部
ユーザーさんからの反応はどのようにして拾っているんですか?
杉谷
僕の場合は2ちゃんねるやTwitter、ニコニコ動画の掲示板、
戀塚さんはてなブックマークですかね。それでたぶんカバーできているかなと。恐ろしく目を通してます。
編集部
今後、ユーザー生放送はどう進化していくんでしょうか?
杉谷
今後というか、まず現状なんですが、今は生主さんの熱意でふたをしている部分が多いんですよ。
編集部
ふた?
杉谷
例えば今は放送枠の取り合いが起きるぐらいなので、よっぽど熱意がないと放送できないじゃないですか。これが余裕があり、誰もがいつでも放送できると、いろいろと表面化してくる問題があるんですね。そういう意味で、今は設備の不備をユーザーさんの情熱によってふたをしている部分が大きいんです。ニコニコ動画初期と同じような感じですね。
まずはそういった裏側の問題の解決。その次には表側、使いやすさの部分の改善をやっていきます。例えば、今は70番組なので全体を見通せていますが、今後、番組の枠が増えていけば面白い番組を探すのが大変になってくると思います。となればランキングのような仕組みも必要だったりするかもしれません。そういった整備に回ると思います。
編集部
ユーザーさんから機能要望なんかもあると思うんですが、それを見て「これ面白そう」っていうのも多いんですか。
杉谷
ありますね、目から鱗が落ちるものが。まあ、今一番多いのは「枠を増やせ!」ということなんですが、先ほど言った情熱によりふたをしている問題を解決しないことには枠を増やせないという悲しい事情があるので。
編集部
いつ頃解決しそうですか?
杉谷
2月、3月には状況が変わるんじゃないでしょうか。
編集部
おお、では近いうちには、ということですね。
杉谷
ただ、僕が来週引っ越しして、猫を飼い、猫と戯れたいので、1週間休みを取ろうと思っているので、1週間はずれると。
編集部
これはしょうがない(笑)
杉谷
はい、しょうがないです(笑) いいものにするようにがんばるので、もうちょっと待っててください。
杉谷氏もまた、ユーザー生放送ばかり見ている「ニコ生厨」だそうだ。ときどき「私が開発者だ」と書き込んでいるので、見つけたら声をかけてあげて欲しい。
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