先月末開催された、Web開発者・クリエーター向けのユーザーカンファレンス「Adobe MAX Japan 2009」。アドビ関連の最新開発技術の動向や様々な事例などが紹介された。ここでは開発者向けのセッションを、いくつか改めて振り替えってみたい。
「Flex4/AIR/CS4によるデザイナー&デベロッパーのワークフロー革新」
― クラスメソッド株式会社 杉浦篤史氏
現在開発中の「Flash Catalyst」の概要と、それによって変わる開発のワークフローの様子がデモを交えて紹介された。
Flash Catalystは「Thermo」というコードネームで呼ばれていた、デザイナーと開発者をスムーズに連携するアプリケーション。Eclipseベース作られており、現在Preview版(ベータ未満のバージョン)が一部の開発者に提供されている。
最新版(CS4)のデザイナー向けアプリケーション(PhotoShop、Illustrator、Firework)では「FXG(FleX Graphics)」というXMLベースの互換ファイル形式で書き出せるようになった。Flash Catalystではこれにインタラクションやエフェクトを付け、Flexに読み込める形式、FXP(FleX Project)形式として書き出す。
デモでは、Photoshopファイル内のレイヤーを個別にオン/オフするインタラクションを設定し、FlexのStateタグに変換する流れと、エフェクトがTransitionsタグに変換する流れが示された。
Flash Catalystを導入すると、高速なプロトタイプ制作が可能になり、画面遷移や素材加工にわずらわされることなく、作りこみに注力できるようになる。デザイナーがMXMLやActionScriptを意識せずにインタラクションやレイアウトを設定できるツールとなるだろうと述べた。
プレビュー版では自動書き出しのMXML精度が低いと見受けられた。そのため、現時点ではまだ複雑なコンポーネント開発には向いていないかもしれない。
「CATMAN作者が語るFlashアニメーション最新情報」
― 青池良輔氏
「CATMAN」の作者である青池良輔氏が作品事例を交え、Flashアニメーション制作におけるノウハウ・制作ワークフローを紹介した。
Flashアニメーション制作の利点として、プレビューが早く多媒体へ展開しやすいことや、Adobe製映像ソフト(AfterEffect、Premire)と親和性が高く、Flash同士のファイル共有がスムーズなことを挙げた。
プレビューせずにモーションが確認できるグラフィックシンボルを多用した制作ワークフローが紹介され、Flash最新版(CS4)の新機能と連携し、HD映像とFlashアニメーションを合成したり、IK(インバースキネマティクス)を利用したりする最近の事例が示された。
Flash最新版(CS4)はアニメーションが刷新されて、従来のトゥイーンアニメーションの他に、オブジェクトベースのアニメーション制作方法が加わった。モーション系のアニメーター・デザイナーには今後可能性が大きく広がるだろうと予見する。
なおTipsとして、映像連携の際、Flash CS3のAVI/MOV書き出しはマシンスペックによる差異が大きいため、連番PNG書き出しのほうが扱いやすいと述べた。