はじめに
私の会社はオープンソースを用いた業務システムの構築を得意としている会社で、私自身も約10年に渡りJavaで業務システムばかりを開発してきました。
Androidが登場するまでは携帯アプリにそれほどの興味を持つことはなかったのですが、Javaでオープンなプラットフォームで携帯アプリが作れるという事で、Androidを通じて初めて携帯アプリ開発に手を染めることになりました。
新たなプラットフォームでの開発のため、当初はかなり苦戦する事を予想していたのですが、開発環境も整っており、驚くほど簡単にMapやGPS、センサーを利用したプログラミングを行う事ができました。そして、何よりも久しぶりに純粋にプログラミングを楽しく感じられる日々でした。
その後、社内でチームが立ち上がりましたが、JavaとEclipseで開発をしてきたエンジニアであれば2、3日もあればアプリケーションの開発ができるようになります。
本連載では、Androidの開発の楽しさを感じてもらう事を目標に、難しい内容はひとまず置いておいて、アプリ開発ができるようになるまでを最短ルートで説明していこうと思います。
話は変わりますが、ちょうど本連載のスタートとほぼ同時期にSDKの2.0が発表されました。2.0ベースでの連載も検討したのですが、1.6とそれほど大きな違いはないので、実機で動かす事を優先してSDK 1.6ベースで進めます。
それでは、皆さんが楽しみながら開発をするきっかけになる事を願いつつ、連載をスタートします。
対象読者
本連載はJavaおよびEclipseの基本を理解している方を対象としています。
Androidってナニ?
AndroidはGoogleが中心となった企業グループ「Open Handset Alliance」から提供されたモバイルのためのプラットフォームです。「Open Handset Alliance(OHA)」には世界中の携帯メーカやハードウェアメーカなど、そうそうたる企業が名前を連ねています。
本連載では携帯電話を中心に話を進めますが、Androidは携帯電話だけでなく、ネットブックや家電等の組み込み分野でも広がりを見せており、OHAの参加企業を見ると活動の規模の大きさ・またその分野の広さを伺い知ることができます。
なおAndroidの語源はギリシャ語で「男性」を意味するandroと、「もどき」を意味するoid(接尾語)の合成語から「男性型人造人間」をさし、女性型は「gynoid(ガイノイド)」となるそうです。
Androidが開発者にもたらしたもの
Android登場以前は携帯電話上で動作するアプリを作ろうとすると、キャリアごとに異なる規格やフレームワーク、APIへの理解、対応が必要でした。しかし、Androidの登場によりキャリア・端末を問わず、Androidであれば動作するアプリを作ることができるようになりました。
また作成したアプリケーションは、Android Market上で誰でもすぐに世界に向けて配信できます。これによって、国境やキャリアを超えてアプリを公開することが容易になり、一気に世界が小さくなったと言えます。
国内では端末も少なく、まだまだ生まれたてといった状況ですが、今後各メーカからAndroid端末の発売も予定されているので、近いうちにユーザーから見ても魅力的なプラットフォームになってくると予想されます。