はじめに
前回は、複数のファイルディスクリプタを一元管理する「多重I/O」機能について紹介しました。今回は、多重I/Oの性能と問題点について検証していきます。
連載概要
- 第1回:ディスクリプタの概要
- 第2回:イベント用ディスクリプタ「eventfd」の特徴
- 第3回:タイマー用ディスクリプタ「timerfd」の特徴
- 第4回:シグナル用ディスクリプタ「signalfd」の特徴
- 第5回:多重I/O「Multiplex I/O」の種類の特徴、使い方
- 第6回:多重I/Oの性能とC10K問題
- 第7回:シグナル駆動I/Oの特徴、使い方
- 第8回:非同期I/O「Asynchronous I/O」の使い方と性能差
- 第9回:ファイルディスクリプタパッシングの特徴、使い方
サンプルプログラムは100行前後程度までは画面に記載します。全プログラムは圧縮してページ上部よりダウンロード可能にしています。make
コマンドでコンパイルできます。i386/x86_64環境で動作確認済みです。
プログラムのボリューム上、エラー処理や引数チェックなどを省いているので、あらかじめご了解ください。また使用法を誤るとシステムに重大な影響を与える可能性があります。利用する場合は責任のとれる環境において実行するよう、お願いします。
当トピックでは、実際にプログラムを通して動作確認や性能測定を行うことで、個人的な見解を述べさせていただきます。あくまで個人的な感想に基づいているので、反論や指摘などあるかと思います。指摘や質問などは大歓迎なので、その際はぜひご連絡ください。可能な限りの対応に努めます。
性能測定について
第4回で触れましたが、select(2), poll(2)
は、管理するディスクリプタが大量になると性能上の問題が発生すると言われています。いわゆるC10K問題で、目安としてクライアント10,000台あたりで性能劣化が発生するとのことです。epoll(7)
はその点を解消していると言われていますが、ではどれだけの違いがあるのか。
明確な性能値が提示されている資料は、見聞の少ない私は見たことがないので、今回はいろいろなプログラムを使って実測してみました。
その道に優れた方に当レポートを参照していただき、ご意見ご感想ご叱責いただけることを期待しております。
なお、今回使用しましたマシンのCPU・メモリ・OS・アーキテクチャは下記の通りです。
# cat /proc/cpuinfo | grep "model name" model name : Intel(R) Core(TM)2 Duo CPU E6850 @ 3.00GHz model name : Intel(R) Core(TM)2 Duo CPU E6850 @ 3.00GHz # cat /proc/meminfo | grep MemTotal MemTotal: 2015528 kB # cat /etc/redhat-release CentOS release 5.3 (Final) # uname -a Linux host 2.6.18-128.el5 #1 SMP Wed Dec 17 11:41:38 EST 2008 x86_64 x86_64 x86_64 GNU/Linux