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Java と ActionScript 3.0 の違い:文法編

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2010/10/07 14:00

 この記事は、Javaに精通した開発者の方に、ActionScript 3.0(以下AS3)がどのような言語なのか、どこがJavaと異なっているのか(あるいは同じなのか)を一覧できるようまとめたものです。今回は「文法編」として、Java開発者が引っかかりやすいと思われる点を中心に記述します。

 この記事は、Javaに精通した開発者の方に、ActionScript 3.0(以下AS3)がどのような言語なのか、どこがJavaと異なっているのか(あるいは同じなのか)を一覧できるようまとめたものです。

 主にAS3の静的な側面をまとめた、『文法編』(この記事)および『クラス宣言編』(Adobe Developer Connectionにて公開中)と、動的な側面をまとめた『属性操作編』(近日公開予定)および『振舞い編』(近日公開予定)の4編に分けて、Java開発者が引っかかりやすいと思われる点を中心に記述しました。

 厳密な言語解説よりは、まずAS3の概要が分かること、を目的に書かれています。さらに詳しい言語仕様についてはActionScript 3.0の学習をご覧ください。

文法編の内容

 文法編では、要素と宣言に関わる基本的な文法を扱います。とはいっても、JavaとAS3の文法はいろいろな面で似ています。そのため、この記事では、特に違いを意識する必要がありそうな項目に絞って説明します。

 下は、JavaとAS3それぞれのクラス宣言の例です。ひとめでは、どちらのサンプルか分からない程度に似ています。

package foo;
import foopack.*;
public class Foo extends FooBase implements IFoo
{
  private String str = "文字列";
  public int bar(boolean b)
  {
    return 0;
  }
}
package foo
{
import foopack.*;
public class Foo extends FooBase implements IFoo
{
  private var str:String = "文字列";
  public function bar(b:Boolean):int
  {
    return 0;
  }
}
}

要素/文法

セミコロン(;)

 Javaは文末にセミコロンが必要です。

foo = 0;

 AS3 はセミコロンが必須ではありません。一行に複数の文を書く場合は、セミコロンで区切ります。

foo = 0
bar = 1; baz = 2

 文法上は不要でも、可読性のため、セミコロンを付けることが推奨です。

null,undefined,NaN,

 Javaでは初期化されていないオブジェクトの値はnullです。

Object foo;
Number num;
System.out.println(foo); // 'null' が出力される
System.out.println(num); // 'null' が出力される

 AS3はオブジェクトの型により"null","undefined","NaN"と値が変わります。

var foo;
var bar:Object;
var baz:*;
var num:Number;
trace(foo); // 'undefined' が出力される
trace(bar); // 'null' が出力される
trace(baz); // 'undefined' が出力される
trace(num); // 'NaN' が出力される

 型注釈の無い場合のみ、値がundefinedになります。変数の型注釈に*記号を指定すると、型注釈を使用しない場合と同じ扱いになります。その他、変数のデフォルト値については、アドビのヘルプ内のデフォルト値一覧をご覧ください。

プリミティブ型

 Javaには8つのプリミティブ型があります。例えばintはプリミティブ型です。intをオブジェクトとして使用したい場合はラッパークラスであるIntegerを使います。

int i = 123;
Integer n = new Integer(i);
n.toString();

 AS3ではプリミティブ型もオブジェクトです。そのため、int型の変数に対してもメソッドを呼び出すことができます。当然、ラッパークラスは存在しません。

var i:int = 123;
i.toString();

 AS3のプリミティブ型に関する詳細は、アドビヘルプのデータ型のまとめをご覧ください。

キャスト

 Javaのキャストは、変数の前に括弧付きで型を指定します。

float f = 5.0;
int i = (int)f; // i は 5

 AS3のキャストは関数呼び出しと同じ形式です。詳細はアドビヘルプ内の「型変換」の節に詳しく書かれています。

var f:Number = 5.0;
var i:int = int(f); // i は 5

 AS3では、データ型の検査にas演算子を使うことができます。

var f:Number = 5.0;
var i:int = f as int; // i は 5

 式がデータ型に属さない場合、asは値を変換せずnullを返します。そのため、キャストのようにランタイムエラーが起きないという利点があります。ただし、基本データ型(Boolean,Number,int,uint)の値の変換が目的の場合には向きません。

var f:Number = 5.5;
var i:int = f as int; // i は 0
trace(f as int); // null が出力される

instanceof

 Javaでは、ある変数が特定の型に属しているかを知る場合instanceofを使います。

String str;
if (str instanceof Number)
{
  ...
}

 AS3では、このような場合、is演算子を使います。

var str:String;
if (str is Number)
{
  ...
}

宣言

変数

 Java は以下のように変数宣言をします。

public int foo;
public Object bar = new Object();

 AS3では以下のように、varキーワードを使います。型は変数名の後に":"を挟んで付けます。変数宣言はJavaと大きく違う点の1つです。

public var foo:int;
public var bar:Object = new Object();

関数

 Javaは以下のように関数を宣言します。

public int foo(String str);

 AS3ではfunctionキーワードを使います。変数の宣言と同様に":"の後に型を指定します。

public function foo(str:String):int;

スコープ

 Javaはブロックが変数のスコープになります。下の2つのforブロック内のiは別の変数として扱われます。

public void foo()
{
  for (int i = 0; i  < 10; ++i) {}
  for (int i = 0; i  < 5; ++i) {}
}

 AS3にはブロックスコープがありません。関数が最小のスコープ単位になります。下のように、ブロック内では変数宣言を記述しないようにするのが推奨です。

public function foo():void
{
  var i:int;
  for (i = 0; i  < 10; ++i) {}
  for (i = 0; i  < 5; ++i) {}
}

Finalとconst

 Javaにはfinalというキーワードがあります。定数を宣言したい場合に使えます。

public static final int FOO = 5;

 AS3で定数を宣言する場合はconstを使います。varが不要なことに注意してください。

public static const FOO:int = 5;

配列

 Javaの配列は大きさと型が決まっています。

int myArray[] = new int[5]; 

 AS3の配列は、型を指定することが出来ません。また大きさも動的に変化します。

var myArray:Array = new Array(5);
myArray[0] = 0;
myArray[9] = "foo";

配列の初期化

 Javaの配列は、初期化子を使って宣言することができます。大きさは、指定した要素数に固定されます。

int myArray[] = {0, 1, 2};

 AS3の場合は、[]を使って初期化子を指定します。大きさも型も不定です。

var myArray:Array = ["zero", 1, "2"];
myArray[9] = "きゅう";

ジェネリクスとコレクション

 Javaでは汎用のコレクションと型の指定されたコレクションが使えます。

List<String> myList = new ArrayList<String>();
myList.add("foo");
String foo = myList.get(0);

 AS3には同等の機能はありません。が、Vectorを使って型の指定された配列を使うことが出来ます。<>の前にドット(.)があることに注意してください。

var myList:Vector.<String> = new Vector.<String>();
myList.push("foo");
var foo:String = myList[0];

XML

 Javaでは、XMLはJAXP,JAXB,SAX,Xerces,JDOMなどの様々なライブラリを使って処理します。

 AS3はE4Xを使います。E4Xは言語に組み込まれているため、別途ライブラリを必要としません。スクリプト内に直接XML文を書いて初期化できます。

var myXML:XML = <order><item>beer</item></order>;
var item:String = myXML.item;

 E4Xについて、詳しくはXMLの操作をご覧ください。

正規表現

 Javaで正規表現を使うには、java.util.regexパッケージを使用します。

Pattern pattern = Pattern.compile("\d+");
Matcher matcher = pattern.matcher("foo");
if (matcher.matches())
{
  ...
}

 AS3ではRegExpクラスを使用します。直接スクリプト内に正規表現を書いて初期化することができます。

var pattern:RegExp = /\d+/;
var str:String = "foo";
if (pattern.test(str))
{
  ...
}

アノテーションとメタデータ

 Javaはアノテーションが使用できます。

@Meta1
public class Foo
{
  @Meta2
  String bar;
}

 AS3では同様の目的でメタデータが使用できます。

[Meta1] public class Foo
{
  [Meta2]   var bar:String;
}

パッケージ

 Javaはパッケージ名をファイル内に宣言します。Javaのパッケージ宣言はファイル全体で有効です。

package foo;
class Foo {}  

 AS3は、クラスをパッケージブロック内に宣言します。AS3では、複数のパッケージ定義を1つのファイルで行うことが可能です。

package foo
{   class Foo {}
} 

名前空間

 Javaでは、パッケージに属する範囲を「名前空間」と呼ぶのが一般的です。

package my.package;

 AS3では、名前空間はパッケージとは異なる概念です。パッケージは名前の競合を避けるため、名前空間は属性やメソッドのアクセス制御に使われます。名前空間はnamespaceを使って宣言します。

package my.package
{
  namespace my_space;
}

アクセスレベル

 Javaではアクセス修飾子を使って、以下の4種類のアクセスレベルを設定することができます。

  • public:すべてのクラスとパッケージからアクセス可能
  • protected:同一パッケージ内とサブクラスからアクセス可能
  • 修飾子なし:同一パッケージ内からアクセス可能
  • private:同一クラス内からアクセス可能

 AS3では、名前空間を可視性の制御に使用します。標準で定義されている名前空間には以下のものがあります。

  • public:すべてのクラスとパッケージからアクセス可能
  • protected:同一クラス内とサブクラスからアクセス可能
  • internal:同一パッケージ内からアクセス可能
  • 指定なし:同一パッケージ内からアクセス可能
  • private:同一クラス内からアクセス可能

 名前空間が宣言されていないと、internalとして扱われます。Javaと異なるのは、protectedが同一パッケージ内からでもサブクラス以外はアクセスできない点です。

この記事の続き『JavaとActionScript 3の違い:クラス宣言編』は、Adobe Developer Connectionで公開中です。

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著者プロフィール

  • 上条 晃宏(カミジョウ アキヒロ)

    アドビにてFlashプラットフォーム上のユーザー体験やアーキテクチャデザインのコンサルティングを担当、数多くのFlash/Flexプロジェクトに携わる。

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