日々の業務における「Micro-Moment」の考え方
基調講演を通じて、Salesforceは、業務システムのフロントエンドを担う部分にモバイルデバイスを強く意識していた。Wall氏は、セッションの中で、「Micro-Moment」という言葉を使い、ビジネスでの作業スタイルや時間の使われ方が変わってきている点を指摘していた。
今日、我々は会議の間の移動時間や電車やタクシーの中、スマートフォンやタブレット、ときにはPCを使って細かい処理やコマンドを実行している。例えば、レストランを予約する、出張先のホテルを予約するというタスクでは、レストランを検索し、レビューを読み、メニューを確認し、スマートフォンから電話かクリックで予約、という処理に分割することができる。さまざまなビジネス活動も、これらの細かい端末操作に分割することができる。Micro-Momentとは、ある目的や業務をこなすために必要な操作・動作の単位のことだ。
ある調査では、スマートフォンの1回の操作が約1.2分として1日に19セッション、タブレットでは7分を12セッション、PCでは36分を4セッションと、Micro-Momentの合計は1日4時間にも上るという。
Wall氏は、Micro-Momentは、アプリケーションの設計を変革させると述べる。Micro-Momentはアプリケーションの個々の機能やタスクの設計に影響を与える。また、UIの設計にもかかわってくる。そして、モバイルならではの要素として、位置情報を含んだ、だれがいつ、どこで、なにを行っているのかという実行「コンテキスト」が重要になるという。基調講演で紹介した数々の機能は、すべてMicro-Momentを意識したアプリケーションを開発するための力となるものという主張だ。
Salesforceが考えるモバイルデバイス戦略
Salesforceのモバイルデバイスに関する戦略や考え方について、基調講演のあとRosenbaum氏とWall氏に直接話を聞く機会を得た。以下、その模様を一問一答でお伝えしておこう。
――基調講演ありがとうございました。今日の講演の中で強調したいポイントや機能はなんですか。
Rosenbaum氏:まず一番はChatter 4.0です。講演でも述べたようにフィードベースでさまざまな業務が可能になったことは、今後のビジネススタイルを考えると非常に意味のあることだと思います。次に強調したいのは日本のパートナーに向けた新しいプログラムMobile Partner Accelerationです。類似のパートナーシッププログラムはこれまでもありましたが、日本企業に特化したものです。
Wall氏:技術的な視点でいえば、Mobile SDK2.0とSmartySyncでしょう。SDK 2.0の各種機能によって、Micro-Momentに対応した業務アプリの開発が可能になります。SmartSyncは、バックオフィス系との連携が欠かせない業務モバイルアプリに必須といえるでしょう。
――Salesforceがエンタープライズのモバイル市場を考えるとき、スマートフォンとタブレットは分けて考えていますか。
Rosenbaum氏:両者を分けて考える必要はありません。両者はシームレスに、連続したものと考えるべきです。違いはスクリーンサイズだけです。スマートフォン、大画面スマートフォン、ミニタブレット、タブレット、さらにはPCへとつながる一連の端末デバイスとして考えます。最近だと「ファブレット」という言葉もあります。
Wall氏:ただし、アプリケーションのUI、デザインは変わるでしょう。画面サイズ、タッチパネルなどアプリの機能はデバイスに応じたものが必要になるわけです。それでも統一性を持たせたものが。
――Micro-Momentが変革を与えるモバイルアプリの設計やコンテキストにおいて、我々はエンタープライズアプリケーションをPCからモバイルデバイスにシフトすべきでしょうか。
Rosenbaum氏:いえ。モバイルの市場は今後も伸びるのは間違いありませんが、だからといって既存のデスクトップアプリやPCが必要なくなるわけではないと思います。むしろ、クラウド上の業務システムやエンタープライズアプリケーションとのシームレスな環境構築のため、モバイル、デスクトップ相互の連携と役割分担がますます重要になるのではないかと思います。


