高速化するネットワークのアレコレ
現在、サーバ筐体のマザーボードには新しいものからPCI Express 3.0のバス接続が搭載されはじめました。この新しいバス接続により、ネットワークはどこまで高速化できるのでしょうか。図4を使って解説します。
図を見ると、旧来からあるPCI Express 2.0 x8インターフェースではバス上限性能が32Gbit/sであり、PCI Expressのline encodingを除く25.6Gbit/sが40Gigabit Ethernet NICの上限性能であることが分かります。日本国内でも40Gigabit Ethernet NICの普及前段階であるため、あまり知られていない数値ですが、このような物理限界がシステムエンジニアの目の前に実は横たわっているのです。
しかし、これを新しいPCI Express 3.0インターフェースへと変更することで問題解決を図っています。PCI Express 3.0 x8ではline encodingを除く62.0Gbit/sが40Gigabit Ethernet NICのために、PCI Express 3.8 x16ではline encodingを除く124.1Gbit/sが近い将来導入される高速化されたネットワークのために用意されています。
つづいて、現在導入可能なPCI Express 3.0 x16インターフェースを持つ100Gbit/s InfiniBand HCA(Host Channel Adapter)の測定結果をもとに、サーバ筐体が持つネットワーク上限性能について見ていきましょう(図5)。この数値はInfiniBand上をRDMA(Remote Direct Memory Access)経由でデータ書き込みを行ったグラフで、Message SizeとThroughput(Gbps)が示されています。ご覧のように、Message Size 2048 Bytesを境として、Troughputが100Gbit/sを叩き出していることが確認できます。
識者の方にとっては賛否があると思いますが、まずここでは「100Gbit/sが出る」ことが発表されている事実のみ、理解していただければと思います。
「100Gbit/sなんて、まだまだ先のこと」と思われるシステムエンジニアの方々も多いかもしれませんが、これからを見据えたシステム設計・運用に関する「気づき」が多く含まれています。研究過程で私も経験していることですが、ネットワークやストレージ性能が飛躍的に向上すると、いままで考えもしなかったところにボトルネックが発見されるからです。ネットワークが高速化されるとストレージのI/O性能が、ストレージのI/O性能が高速化されるとアプリケーションというように、いままで見えていなかったボトルネックや課題が見えてきます。先ほどのMellanox社製Connect-IBの測定結果を例にして、高速化ネットワークを解説すると図6のようになります。PCI Expressのバス接続など物理限界を知り、実測値を踏まえた性能限界を知った上で、もっとも安定稼働する「実効性能」を探っていくことが、とても重要なのです。
昨今のシステム設計・開発の分業化により、システムが持つ限界や実効性能などに触れる機会が減っている方も増えてきたかとは思いますが、興味があれば、ぜひこういった情報にも触れてみていただければと思います。

