はじめに
パソコンでの作業の多くはテキストにまつわるものです。そして、ほとんどの人は目で文章を読んでいます。しかし、「音声読み上げソフト」を使うと、文章を耳で聞きながら理解することが出来ます。音声読み上げソフトは画面を見ることができない作業のときに、耳で文章の内容を確認したり、ラジオのようにWeb上の新聞を読み上げさせたり、原稿校正のための読み合わせ作業の代わりにしたりと、さまざまな使い方ができます。
こういった便利な機能を手軽に実現できる「Microsoft Agent」というものがWindowsにはあるのですが、あまり利用されていないのが現実です。Microsoft Agentは日本語にも対応しており、無料で利用することができます。
本記事では、Microsoft Agentを利用してクリップボードから取得した文章を声に出して読む、文章読み上げソフトの簡単なサンプルを作成します。
以下に利用イメージを示します。
今回作成する音声読み上げソフトは、拡張子が「.hta」のファイルとして作成します。
拡張子が「.hta」のファイルは、HTMLでインターフェイス(ウィンドウやボタンなど)を作成でき、JavaScriptやVBScriptでプログラムを行うことができます。また、Explorer上でダブルクリックすることで、拡張子が「.exe」の実行ファイルのように、手軽にアプリケーションとして起動できます。簡単なアプリケーションを作成するときには便利な方法です。
本記事は、以下の順序で進みます。
- 技術解説
- Microsoft Agentについて
- Microsoft Agentのインストール
- 設計(プログラムの概要)
- プログラムの作成
- 「read_text.hta」の作成 - ボタンやテキストエリアのレイアウト
- Microsoft Agentの利用1 - オブジェクトの埋め込みと初期化
- Microsoft Agentの利用2 - 読み上げと停止
- Microsoft Agentの利用3 - プロパティシート(設定ダイアログ)の表示
- クリップボードから文字列を取得
- まとめ(完成プログラム)
なお、3.ⅲ以降は後編で解説します。
対象読者
JavaScriptをある程度使いこなせる人、およびHTMLに関して基本的な知識がある人を対象にしています。
必要な環境
Internet Explorer 4.0以上が必要です。Microsoft Agent実行のために、必要なファイルをインストールする必要があります。このインストール方法に関しては、以下の章で詳しく説明します。
本プログラムはHTMLとJavaScriptをベースに作成されています。そのため、Internet ExplorerやIEコンポーネントを利用したタブ・ブラウザの設定や、セキュリティ関連ソフトの設定次第では動作しない場合があります。もし、うまく実行できない場合は、それらのソフトの設定を確認して、JavaScriptやActiveXコントロールの実行を許可するなどしてください。
本プログラムは、Windows 98+Internet Explorer 6環境、およびWindows XP+Internet Explorer 6環境でテストされています。