「Visual Studio Code」と「Visual Studio 2015」その違いとは?
「最近はSurface ProとMacBookの2台持ちでセッションをしている」と前置きし、井上氏のセッションは始まった。「いまやマイクロソフトの開発ビジョンはモバイルファースト、クラウドファーストをうたっている。だからこそVisual StudioでさえWindowsの殻から飛び出して、すべてのアプリ、すべての開発者が使えるような開発環境として進化している」と強調する。
新しいVisual Studioがローンチされたのは7月21日(日本時間)。このとき、マイクロソフトではローンチ記念イベントが開催されたという。新しいVisual Studioは、先述したように「すべてのエンジニアとアプリのための開発環境」として、Visual Studio Familyという形での提供となっている。
まずは「Visual Studio Code」。これは「Windowsはもちろんのこと、Mac OS XやLinux上でも高速に動く、軽量かつ高機能なエディター」と井上氏は説明する。次に完全なる統合開発環境として進化した「Visual Studio 2015」。「MacやLinux上で動く開発環境として作られたのがVisual Studio Codeというわけではないということ。ここはしっかり覚えておいてほしい」と井上氏。あくまでもVisual Studio Codeは高機能なコードエディターでしかなく、チーム開発やテスト、デバッグなどの機能などは機能としてまだまだ発展途上だからだ。
さらに「Visual Studio Online」というTeam Foundation Server (TFS) のクラウドサービス版も用意された。「クライアント上でVisual Studioを使わなくても、Eclipse、 Xcode、Sublime TextなどからVisual Studio Onlineを使ってプロジェクト管理、プロセス管理ができるようになる」と井上氏は説明する。つまりVisual Studio Familyはクライアントだけのものではなくて、クラウド側も含めた開発統合環境として定義されているというわけだ。
Visual Studio 2015は、より使いやすい開発環境へと進化した。前バージョンとどう変わったのか。「マルチタッチ対応で拡大縮小ができたり、任意のレイアウトを記憶して簡単に呼び出せたりする機能が追加。また複数のアカウントのサインオンが可能になるなど、このような細かいところが変わっている」(井上氏)。
新しいVisual Studioの最大の特徴はAndroid、iOSデバイスなど、マルチデバイス向けのアプリケーション開発ができるように進化したこと。「今まで同様C#でWindowsのアプリケーションも開発できるのはもちろん、Visual Studio上でXamarinというサードパーティ製のツールを使うことで、AndroidやiOS向けのアプリケーションが開発できるようになった。またVisual Studio上でUnityを使うことで、AndroidやiOS向けのゲーム開発も可能である。C++周りの開発も強化をしており「AndroidネイティブのアプリもC++を使って書くことができる」と井上氏は説明する。さらにCordovaを使うと、HTMLやJavaScriptでAndroidやiOSのアプリが開発できるようになる。
セッションでは、実際にVisual Studio 2015からCordovaを立ち上げて簡単なAndroidアプリ開発するデモも実施した。また井上氏はVisual Studio 2015のVisual Studio Tools for Apache Cordovaから、Ripple(Google Chrome上で動く、さまざまなモバイルデバイスの画面サイズや機能を確認するためのエミュレータ)を起動させ、アプリケーションを実行する場面も披露。「このようにVisual StudioではAndroidやiOS向けのアプリケーションが容易に開発できる」と語る。
生産性向上のための機能強化も図られている。コードに関する情報の表示(コードレンズ)機能や、より分かりやすくなったタスク、リファクタリングの強化、コード分析の強化などはその一例だ。また「診断機能も強化された」と井上氏。デバック実行中にさまざまな診断機能を使って、パフォーマンス状況を確認できたりタイムラインで事象を確認できたり、ブレークポイントの設定がより直感的になったりしているという。そして話題は新しい.NETへ。