次世代を担う技術のカギは「会話プラットフォーム」、Microsoftのオープンソース化などの話題も盛り沢山
イベント開始前、ノリノリの4人によるライブ中継からスタート。それぞれ肩書きや専門は異なるものの、フラットな雰囲気はまさに「今のMicrosoft」を表すと言えるだろう。特に.NETエバンジェリスト井上章氏とJavaのエバンジェリスト寺田佳央氏の握手には会場からも拍手が上がった。
和やかな雰囲気の中で始まった基調講演の冒頭では、日本マイクロソフトの統括本部長である伊藤かつら氏が登壇。音声アシスタント「Cortana」をパートナーに、Surface Proのカメラアプリで東京タワーのガイドブックを写すと3Dで見ることができる「拡張現実」をデモンストレーションしてみせた。また、同様に1枚の名刺を写すと最高技術責任者の榊原彰氏の立体映像が投影。「Cortana」の呼び掛けで本人が登場し、壇上に上がった。
榊原氏からは、2016年3月にサンフランシスコで開催された「Build 2016」の報告がなされた。「興奮して鼻血が出そうだった」と評し、最も印象に残った技術として「Conversation as a Platform(会話プラットフォーム)」を挙げた。
これまでの場所と時間の制約を取り払う取り組みに加え、もう一つ「アプリケーションからの解放」を実現する必要がある。そのためにMicrosoftは次世代のインターフェースとして「会話=自然言語」を活用しようとしているという。「Bot」はその代表的なテクノロジーだ。
Botは会話を経由してさまざまなアクションを取れるというソフトウェア。MicrosoftはBtoB、BtoCのアプリケーションとサービスの一端を担う技術になると考え、Botと会話ができるソフトウエアを「Conversation Canvas(カンバセーションキャンバス)」として、さまざまな製品を対応させようとしているというわけだ。そして、すでに対応しているCortana、MicrosoftのSkypeやOfficeスイートはもちろん、SlackやLINE、WeChatなど他社製アプリケーションも巻き込んでいくという。
会話をするだけなら既存の「Bot Framework(ボットフレームワーク)」で容易に構築できる。しかし、さらに深い知的交流を実現するには、人の行動パターンや交友関係などの学習機能、自然言語対応といった、高度な技術が必要になる。また音声認識や画像認識なども必要になるだろう。Botはまさにテクノロジーの宝庫ともいえる。
また、テクノロジー以外の傾向として、榊原氏は「オープンソースへの傾注」を上げ、「なぜMicrosoftがオープンソースをやるのかという質問は時代遅れ。古い概念に囚われることなく、Microsoftは『いい技術かどうか』『世の中に役に立つかどうか』を指針として動いている」と語った。
そして、「Microsoftは開発者やコミュニティのことを大切に思っている」と強調し、その現れの一つとしてVisual StudioにXamarinが無償提供されたことを紹介した。Ubuntuも組み込まれ、UWP(Universal Windows Platform)のみならず、LinuxやAndroid、iOS向けの開発環境がWindows上で実現する。さらにドイツのCortanaを搭載したコネクテッドカーの自動走行イベントに参加した際に、メーカー担当者の「自動車メーカーはソフトウェア企業だ」といわれたエピソードを紹介し、「未来はソフトウェアが作る。その未来を開発者の皆さんとともに作っていきたい」と熱く語った。