GitHub Japanは12名体制に
日本は、米国の外で唯一カントリーマネージャーが置かれる、GitHubにとって期待の市場だ。LINEを含むIT業界の新興企業を中心に、日本でも法人向け「GitHub Enterprise」の導入が広まっているという。今年5月に開かれた藤田氏の就任会見では、日本法人設立から約1年間でGitHubの利用者数が50パーセント、GitHub Enterpriseを導入する企業数が70パーセント増加したことが明かされた。
過去にSAPやアビームコンサルティングなど、IT業界の企業で豊富な経験を持つ藤田氏がGitHubに参画する決め手となったのは、同社の日本市場への本気度だったいう。同氏の直属の上司が、セールスのトップではなくCBO(Chief Business Officer)であることも、同社が日本市場に長期戦で挑む心構えの表れだといえるかもしれない。
現在、12名のメンバーから成るという日本オフィスは、主にセールスとサポートの人員で構成されている。営業やサポート、バックオフィス、マーケティングといった各種機能を日本で独自に持ち、GitHub Enterpriseのサービス普及に対応できる体制を整えている段階だ。
SIerとのパートナーシップ戦略
日本法人が設けられる以前、日本の利用者は公式ウェブサイトからGitHub Enterpriseを購入することでサービスを利用していた。UIが比較的シンプルにとどめられたプロダクトであるため、アーリーアダプター層に対してはそれで問題がなかったが、目下のゴールである「キャズムを超えてプロダクトの普及を図る」ためには、日本語に翻訳されたドキュメンテーションなどを含む包括的なサポートが求められる。
また、日本の伝統企業へのGitHub Enterprise導入を推し進めるためには、大きな組織が安心して踏みこめる体制づくりが欠かせない。日本では、ソフトウェア開発をアウトソースする企業が多いことを受けて、藤田氏はSIerと組むことでその先の企業に効果的にアプローチする方法を検討していると述べた。SIerにとってGitHubと組むことは、顧客への新規提案や提供するサービスの幅を広げることになり、コスト競争からの脱却につながる可能性がある。
「ソフトウェアを重要視しない企業や業態が無くなりつつある中で、オープンソースコミュニティから学ぶことが多くあります。自動化できる部分を極限まで自動化し、誰もが同じ情報を取得できる土壌を用意するなど、オープンソースコミュニティのソフトウェアづくりは長けています。それを学ぶ際、われわれがそのカタリストになれるのではないかと考えています」(藤田純氏)