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GitHub Universe 2016イベントレポート

GitHub Japan藤田氏に訊く日本市場への意気込みと、キーノートで明かされた注目の新機能【GitHub Universe】

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GitHubの新機能発表

 今後、日本市場でGitHub Enterpriseはどれだけ普及していくのか。その速度や密度は、藤田氏が述べたようなビジネス戦略による部分も大きいだろうが、当然プロダクトそのものも気になるところだ。

 カンファレンス初日のキーノートでは、同社の共同創業者でCEOのクリス・ワンストラス氏が「サービス開始以来、最大のアップデート」と称するその内容が共有された。日々GitHubを使うエンジニアたちが首を長くして待っていたであろう新機能の概要について、以下にお伝えする。

プロジェクト管理ツール「Projects」

 

 これまでも、GitHubではプロジェクト管理ツールのアドオンやインテグレーションをサポートしていたが、今回「Projects」と呼ばれる基本的なプロジェクト管理機能をリリースした。「Trello」や「Redmine」などのタスク管理サービスを思い浮かべるとわかりやすいかもしれない。

 Projectsでは、リポジトリから直接プロジェクト管理ができる。プルリクエストに紐付けてカードを作成し、カードを「In-Progress(進行中)」「Done(完了)」といったカラム間で移動させてタスク管理ができる。こうしてプロジェクト管理が開発プロセスに取り込まれることで、GitHubと他ツール間の行き来が減り、エンジニアの仕事がよりGitHub内で完結するようになった。

コードレビューを効率化する「Reviews」

 

 コラボレーションこそ、GitHubがそのユーザーに提供する最大の価値だ。昨年の取材時にクリス・ワントランス氏による「優れたエンジニアの条件は、コードを機械のためではなく人のために書くことだと理解していること」という発言が印象的だったが、今回発表された「Reviews」は、まさにそれを後押しする機能だと言える。

 従来、GitHubではソースコードに対してコメントのやり取りはできても、プロセスと呼べるコードレビュー機能は存在しなかった。Reviewsでは、すべてのプルリクエストを正式に承認したり、変更したりできる。また、レビューのサマリー(要約)を残したり、コメントを削除や編集したり、まとめたりできる。コード一行ごとに自由に会話のスレッドが立てられるため、1カ所でデータやテストなど複数のトピックスを議論できる。

 また、ソースコードの管理者は、レビューで承認されたものだけがマージされるように設定することも可能だ。今後も、GitHubではコードレビューを容易にするための機能を順次リリースしていく予定だ。

各方面のオープンソース化とフォーラムの開設

 上述の主だった機能の他にも、新機能やAPIを限定的に公開できる早期アクセス、Organization管理者による全メンバーへの2段階認証の義務付けといった機能が追加された。今回は実装されなかったが、将来、SAMLベースのシングルサインオンをサポートすることも発表している。

 GitHub Universeの開催に合わせて、同社は過去1年間における活動内容をまとめた「Octoverse 2016」を公開した。例えば、GitHubにはこの1年で新たに520万人の新規ユーザーが参加しているという。また、GitHubがここまで普及した最大の要因であるオープンソースプロジェクトでは、計316のプログラミング言語が使われている。サイトには、プルリクエストの数で見る言語の人気ランキングも掲載されている。

 ワンストラス氏は、「私たちはユーザーの声に耳を傾けている、ユーザーと双方向のコミュニケーションがとりたい」とコメント。その一環として、インテグレーター向けのフォーラムをリリースした。さらに、2017年には、GitHubを活用する1600万人のエンジニアに向けたフォーラム「The GitHub Community Forum」を公開する。エンジニアがお互いに学び合い、GitHubについて議論できる場所になるという。

 オープンソースコミュニティの存在によって爆発的な成長を遂げてきたGitHubだが、今後も同社がユーザーと共につくるソフトウェアの未来に注目したい。

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この記事の著者

三橋 ゆか里(ミツハシ ユカリ)

 ロサンゼルス在住のIT記者・翻訳者。Newsweek Japan、AERA、PENなどで執筆。雑誌「Mac Fan」や「婦人画報」「クーリエ・ジャポン」でコラム連載。三省堂の『ICTことば辞典』共著。映画『ソーシャル・ネットワーク』の字幕・吹き替え監修。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/9692 2016/10/14 14:00

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