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アウトドア開発のススメ! 開発は最高のパフォーマンスを発揮できる場所でやろう

Oracle Cloud Developer Day 2016 セッションレポート

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ソフトウェア開発者を幸せにする方法の1つがアウトドア

村瀬氏のその言葉に、中嶋氏も「そう、アウトドアでの仕事は気分を楽しくしてくれる」と相づちを打つ。中嶋氏は、アウトドアで開発を行うことの意義を、開発者コミュニティに提案したいと考えている。

中嶋氏はその動機の1つとして、あるショッキングな調査結果を紹介した。同志社大学技術・企業・国際競争力研究センターの調査によると、日本のソフトウェア技術者は、仕事に対する「やりがい」や「満足度」といった心的生産性指標が、調査対象国の中で最下位だったという。

「本来、ソフトウェア開発者にとって開発業務は“仕事とはいえない”というぐらいの楽しいもの。それが先のような感想を多数の開発者が持っているのは、何かねじれが生じているからだ。そのねじれを解消し、開発者が幸せになるための1つの手段がアウトドアではないかと考えた」(中嶋氏)

実際にその仮説が正しいか、中嶋氏は自身で検証を行うことにした。都内にある自宅を出て向かったのは、長野県伊那市郊外の千代田湖キャンプ場(標高1300メートルにあるため、冬期期間は閉鎖)。夕方の16時に到着し、その日の作業はシェルターの設営のみで、あとは燻製を作ったりしてまったりと過ごしたという。シェルターを選んだのは、リビングルームとして使え、インナーテントを用意すれば快適に寝泊まりできるから。そして朝を迎えるのだが、「朝のすがすがしさは最高。気持ち的にもポジティブになり、開発にとっても最高な時間だと実感した。最高な気分のまま、仕事を始めることができた」(中嶋氏)

中嶋氏が準備したシェルターとテーブル、チェア、コーヒーなど
中嶋氏が準備したシェルターとテーブル、チェア、コーヒーなど
すがすがしさ最高の環境で仕事をする中嶋氏
すがすがしさ最高の環境で仕事をする中嶋氏

中嶋氏は、このときに使用したキャンプ用品の多くをスノーピーク製でそろえた。「スノーピークが本社を構える燕三条の伝統産業は鍛冶産業。その伝統を今に受け継ぐ鍛冶職人がこだわって作られているスノーピーク製品に感動したため」とその理由を語る。例えば、スノーピーク製品の1つに「ソリッドステーク」というベストセラーがある。テントやタープを固定するために地面に打ち込む「ペグ」という杭だが、村瀬氏いわく「石を貫通するぐらいの性能を持つ」のだそうだ。

スノーピーク製品を使うと、仕事をする環境も簡単に作れるという。シェルターでゆっくり過ごすために使っていたローチェアを撤収し、代わりに「ワンアクションテーブル」と「FDAチェア」を設置すれば完了だ。

「設置が大変だとアウトドアで仕事をしようとは思わない。ワンアクションテーブルは、商品名のとおり、ワンアクションでセッティングができるので、心理的な障壁を感じることはないと思う」と話しながら、中嶋氏はワンアクションテーブルの設置を参加者の前で実演。その簡単さを紹介した。それだけでなく、「ぐらぐらしないなど、作りがしっかりしているところもおすすめポイント」(中嶋氏)と語る。

アウトドアで仕事をしていると、息抜きの時間が自然と「アイデアを練る時間になっていた」と中嶋氏。早朝から14時まで仕事をして、約1時間かけて撤収し、自宅に戻ったという。

ワンアクションテーブルを広げたりたたんだりするコツを伝授する中嶋氏
ワンアクションテーブルを広げたりたたんだりするコツを伝授する中嶋氏

アウトドアでは「フロー状態」で開発できる

しかし、いくらアウトドアでの開発がすばらしいといっても、アウトドア専用のテーブルやイスをそろえるにはある程度の出費が伴う。また、家族がいれば、そもそも「キャンプで仕事」を認めてもらうこと自体が難しいかもしれない。この点について、中嶋氏は次のようにアドバイスする。

「スノーピークの製品は品質が高いので、自宅でも仕事用として活用すればよい。また、キャンプとまでいかなくても、子供をつれて近所の公園で仕事をするのでも十分効果がある」(中嶋氏)

実際、中嶋氏は子供といっしょに駒沢公園(都内にある広い公園)に行き、子供を遊ばせながら、仕事をして休日を過ごすこともあるという。

キャンプ場以外でも活用できるアウトドアテーブルとイス
キャンプ場以外でも活用できるアウトドアテーブルとイス

アウトドアで開発を勧める理由について中嶋氏は、「フロー状態を作りやすいため」と説明する。フロー状態とは完全に没頭した状態のことで、集中ゾーンに入っていることを指す。「桁違いの早さでコーディングできるだけではない。1つ1つのコードの品質も高く、すばらしいアウトプットが期待できる」と中嶋氏は力強く語る。

また、中嶋氏は「開発者は自分自身の精神状態・作業環境にセンシティブであるべき」と指摘する。中嶋氏にとって最高のパフォーマンスを発揮できる場所が「キャンプ場」なのだ。「アウトドアもアプリケーション開発も好き。キャンプ場で開発すると、仕事と好きなこととの境界線がなくなり、好きを仕事にできる。世の中の開発者が健全な状態で仕事をすれば、もっと開発が楽しくなるのでは」(中嶋氏)

アウトドアでの開発は、試す時期も大事だと村瀬氏は続ける。「ベストシーズンは春と秋。最初はベストシーズンに実践してほしい」(村瀬氏)

天候も重要な要素だが、たとえ雨が降っても、スノーピーク製のテントやタープでは「絶対、中は濡れない」のだそう。ただ「強風時はNG」と中嶋氏。また、雨だと撤収作業が大変なので、やはり天気の良い日に実行するのが得策だろう。

あと、アウトドアで仕事をする際、テーブル高は65cm前後、イスの座面は40cm前後であるものが使いやすいと村瀬氏。電源への不安については、「最近のMacBookであれば、1日なら充電しなくても使えるはず」と中嶋氏はいう。心配であれば、PC用モバイルバッテリーを持参するのもいいのではとアドバイスする。ネットワークについては、データ通信カードやテザリングが基本となる。ただし、キャンプ場によっては圏外のところもある。事前に調べておくことが重要だ。

こんな場所でパソコンを広げたら、開発が何倍も捗りそう
こんな場所でパソコンを広げたら、開発が何倍も捗りそう

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チームビルディングにもアウトドア開発が効く!

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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