ゲスト審査員からの特別賞は?
会場で投票と集計が行われる中、ゲスト審査員による特別賞が発表された。
ジュンク堂書店池袋本店のコンピュータ書担当、阿部初音さんは『新装版 達人プログラマー 職人から名匠への道』を選出。先輩から名著と言われ続けてきた本書が棚にないことを嘆き、ついに新装版が刊行されることになったときの嬉しさが忘れられないとのこと。普遍性のある内容に特別賞が送られた。
スマートニュース株式会社の執行役員でメディア事業開発担当、藤村厚夫さんは『ITエンジニアが覚えておきたい英語動詞30』を特別賞に。まるで自分のことを言われているようだったという感想は、多くのエンジニアからも共感を得るかもしれない。
同賞2016の技術書部門で大賞となった『プログラマ脳を鍛える数学パズル』の著者、増井敏克さんは『ゼロから作るDeep Learning』に特別賞を授与。自身、かつて人工知能に関する研究をしていたが、卒業後はめっきり触れなくなって本書が新鮮だったという。大学や企業だけでなく、個人でもできるところに注目したとのことだ。
技術書、ビジネス書の大賞が決定!
いよいよ会場での集計が終わり、「ITエンジニアに読んでほしい! 技術書・ビジネス書大賞 2017」2部門の大賞が発表された。
技術書部門は『ゼロから作るDeep Learning』が大賞を受賞。手を動かして、考えて、悩んで作ることが大切だと著者・斎藤康毅さんは再度強調。これからも作ることの経験を大切にした本を書いていくとのことだった。
ビジネス書部門では『最強の働き方』が大賞に輝いた。著者・ムーギー・キムさんが予言していたとおりの受賞となり、会場の参加者(IT技術者)がビジネスに関心を持っていることが浮き彫りになったと言えるかもしれない。ムーギーさんも、技術とビジネスをかけ合わせてキャリアバリューを広げようとアドバイスを送っていた。
最後に、主催の翔泳社から代表の佐々木幹夫氏が締めのあいさつを行った。「今回もすばらしい本が選出されてよかった。エンジニアの仕事に役立つだけでなく、IT業界、さらには出版業界を盛り上げ、そして世界をよくしていくことの一助となれば嬉しく思います。来年も開催するので、また会場に足を運んでみてください」
書店やネットショップで本を選ぶとき、著者や編集者による紹介を直接聞くことはほとんどない。しかし、もし間近で自分の知らない本のプレゼンを聞いたらどうか。欲しいと思ってもいなかった本を、つい買ってしまうかもしれない。「ITエンジニアに読んでほしい! 技術書・ビジネス書大賞」が、新しい本に出会うきっかけとなれば幸いである。