対象読者
IoTに興味があり、電子工作とJavaScriptの基本的な知識がある方を対象とします。電子工作のごく初歩的な説明は割愛しているので、「ラズベリーパイをつかったセンサープログラミング超入門」の記事なども併せて参照してください。
はじめに
前回の連載「Tessel 2ではじめるお手軽IoT」では、ワンボードマイコンTessel 2に、専用の気候センサーモジュールやUSBカメラを接続する方法を紹介しました。この連載では、そのような専用のハードウェアモジュールではなく、ブレッドボードと呼ばれる基板を使ってTessel 2にセンサーを接続してみます。今回は光センサーと接続します。
光センサー
光センサーとは、文字通り光(電磁気的エネルギー)を検出するためのセンサーです。光センサーの種類にはいくつかありますが、IoTで扱いやすいのは半導体を用いたものです。中でも光の強度によって電気抵抗が変化するフォトレジスタと呼ばれるセンサーがよく利用されます。
CdSセル
フォトレジスタにもいくつか種類があり、特にCdS(硫化カドミウム)の性質を応用した、CdSセルと呼ばれる素子がもっともポピュラーです。
CdSセルは光量によって電気抵抗が変化する素子です。暗くなると自動的に点灯する街灯などで、このCdSセルを用いた回路が利用されています。今回は、このCdSセルをTessel 2に接続します。
CdSセルの抵抗
一口にCdSセルといっても、さまざまな特性のものがあり、同じ型番でも特性にバラツキがあります。手持ちのCdSセルの抵抗値をテスターで計測すると、室内では2kΩぐらいでした。CdSセルを手で覆うと、400kΩぐらいになりました。
このように光量が多いと抵抗値が低くなり、暗いと高くなります。また、変化量が大きいのもCdSセルの特徴です。
抵抗値の変換
明るさに応じて抵抗値が変化することがわかりました。では、この変化をTessel 2で扱うにはどうすればいいでしょうか。一般的に、抵抗の変化をそのままマイコンなどに取り込むのは難しいので、この抵抗の変化を電圧や電流の変化に変換します。
Tessel 2には、このような電圧の変化を扱うことができるアナログ入力ピンがあるので、今回は抵抗値を電圧の変化に変換する分圧回路を利用します。デジタル入力では、入力値をLOWかHIGHの2通りで判断しますが、アナログ入力ピンでは入力値を連続的に扱うことができます。
分圧回路
分圧回路とは次のように2つの抵抗を直列に接続した回路です。
この回路のとき、抵抗R1と抵抗R2にかかる電圧の和は、電源の電圧になります(キルヒホッフの第二法則)。言い換えると、抵抗R1とR2によって電源の電圧が分割されるということです。
また、抵抗それぞれにかかる電圧は抵抗の比から求めることができるため、この回路のVout(抵抗R2の電圧)は、次の計算式で求めることができます。
Vout = V × R2 /(R1 + R2)
したがって、この抵抗R2の代わりにCdSセルを接続すれば、抵抗の変化をVoutの変化として扱うことができます。