オープンソースコミュニティが社会の進歩を助ける Quincy Larson@FreeCodeCamp
GitHub上で27万以上(!)のスターを持つ、無料でWeb開発が学べるオープンソースプロジェクト「FreeCodeCamp」。その創始者クインシーがFreeCodeCampの創設から運営までで得た知見についてシェアしてくれました。
FreeCodeCampとは
FreeCodeCampは無料でプログラミングを学べるオープンソースのプロジェクト/コミュニティです。誰でも開発者としての職を得るのに十分なスキルを勉強できる場所を提供することを目的としています。創始者のクインシー氏が書いたブログ記事がYコンビネーターのHacker Newsに掲載されたのをきっかけに火がつきました。
オンライン上の課題や教材は全てボランティアの手によって作られています。FreeCodeCampに貢献することで未経験の人が開発者としての経験を積めるような仕組みになっているそうです。
発足から30か月現在、毎月50万人が使っています。実は日本にもFreeCodeCampTokyoというコミュニティがあり、オフラインのイベントが定期的に開かれています。
グロースの秘訣は“口コミ”。徹底的コミュニティファースト
FreeCodeCampはVCからの資金は一切得ておらず、専門のマーケターもいません。広告にも一切お金をかけていません。ユーザーの口コミだけで毎月50万人が使う規模にまでコミュニティが拡大しています。そのため常にFreeCodeCampはコミュニティファースト、つまりメンバーの利益になることを目的に動いています。コミュニティのメンバーが開発者としての職を得ること、これがメンバー共通の目的です。それが叶えられるよう、カリキュラムのすべては無料で完全に自分のペースで進められるように設計されています。
実際、これまでに5,000人が開発者としての職を得ており、今後はもっと教材を増やして学校や大学でも使われるようなレベルを目指していくそうです。
コミュニティを持つひとたちへのアドバイス
最後に、クインシー氏のこれまでの活動を通して得た経験をもとに、コミュニティリーダーへのアドバイスがありました。
コミュニティの様々な過程にできる限り関わること
助けてくれる人がたくさんいるからといって、手放していいということにはなりません。細かいタスクも自分でやることに価値があります。たとえば問い合わせメールへ返信することで個人的な関わりが作れるようになります。できるだけ色々な過程に関わることが大事だそうです。
コミュニティの中で見えるところにいること
SNSなどでの発信は非常に重要です。コミュニティで今、何が起きているのかを定期的にアップデートしたり、イベントに顔を出すのは関わっている人々のモラルを引きあげるのに役立ちます。
いつも「リーダーモード」を心がけること
リーダーが好まなくても、コミュニティのメンバーはいつもリーダーを見ています。
他のメンバーに対して不適切な言動をとる人がいればしっかりと指摘すること
できるだけ多くのひとを巻き込むこと
成功するコミュニティには、多くのメンバーになりたがる方がたくさん出てきます。
できるだけ多くのひとを巻き込むにはどうしたらよいのか?
筆者もコミュニティ運営をしているので非常に参考になったのが、この部分です。クインシー氏いわく、「メンバーが持っているスキルが、コミュニティのどこかに活かされるように設計すること」が多くのひとを巻き込む秘訣だそうです。たとえば開発経験はなくても、ライター経験がある人はドキュメントを書いてくれるかもしれません。コミュニティに参加している人たちは多種多様なバックグラウンドとスキルセットを持っているのです。
彼らに生産性高く関われる場所を提供すること、つまり彼ら自身がコミュニティに対して寄与していると感じられるようにしてあげることが大事です。みんながコミュニティを通して自己実現できるような環境をデザインしていくということです。お金を払ってプロの人たちに全て用意してもらうことはもちろん可能です。しかしコミュニティメンバーが、自分が関わりを持っているという感覚を持てなければ、コミュニティは育っていきません。
この記事を読まれている方でミュニティ運営をされている方も、メンバーに「自分ゴト」と思ってもらうにはどうしたらいいか、という視点で運営方法を考えると良いかもしれません。
まとめ
今回のカンファレンスのセッションで一貫していたのは「開発者との信頼関係」というキーワードです。この記事で取り上げなかった登壇者も「Trust」が大前提だと声高に叫んでいました。それはAlibabaのようなベンダーが作る開発者との関係性においてもそうですし、FreeCodeCampのような完全非営利の活動においてもそうです。開発者が使うサービスや製品は、開発者自身のキャリアに直結します。ここが通常のコンシューマーサービスとは大きく異なる点で、より信頼関係が重視される理由でしょう。
そして、信頼関係を構築するために必要なのが「オフラインでのつながり」です。これも様々な登壇者が言及していましたが、コミュニティ活動もDevRelとは切って離せないものです。どんなに技術が発展しても、オフラインでのコミュニケーションの重要性はむしろ増していくといえます。
次回のDevRelConはなんと7月29日に東京で開催されます。日本マイクロソフト、IBM、Slack、GitHubなどさまざまな企業のエバンジェリストが集まりDevRelの知見を共有します。チケットは好評発売中ですので、この記事を読んで興味を持たれた方はぜひチェックしてみてください!
