アプリケーションの開発・デプロイを容易にするHeroku
株式会社セールスフォース・ドットコムの阿部崇氏は、Herokuの特長を紹介した。
Herokuは、Salesforce社が提供するPaaS(Platform as a Service)である。アプリケーションを開発し、稼働するには、サーバを購入し、OS、ミドルウェア等をインストールして環境を構築しなければならない。Herokuでは、Salesforce社がミドルウェアの領域まで統括・管理してサービスを提供しているため、開発者はアプリ開発に集中し、迅速かつ簡単にデプロイできる。ツールやアドオンは、オープンソースとコミュニティのベストプラクティスをもとに用意されており、チューニングを考える必要がなく、開発にかかる時間とコストを抑えられる。
Herokuは、3つの要素から構成される。Dynoは、作成したプログラムを動かすためのLinuxコンテナである。並行稼働するDynoの数を増やすことで容易にスケールすることが可能だ。Dataは文字どおりデータの管理・保管を行う。PostgreSQL Redis、Kafkaなどが用意されており、アドオンとして利用できる。Elementsはサードパーティのアドオンであり、ボタンのクリックで簡単にプロビジョニングができる。
Chatbotを進化させるAIプラットフォーム「Einstein Language」
最後に、株式会社セールスフォース・ドットコムの田中宏樹氏が、Einstein Language[*]の概要を紹介した。
Einstein Languageは、Salesforceが提供するAIプラットフォーム「Einstein Platform Services」のソリューションの1つで、AIを使ったテキスト分析を行うEinstein IntentとEinstein Sentimentを提供する。
Einstein Intentは意図分析である。文章を事前に設定しておいたカテゴリに分類し、文章をどのような意図で発したかを読み解く。たとえば、「近くにおいしいお店は?」という文章からは「現在地周辺のレストランを検索」という意図を分析できる。AIを利用するため、トレーニング用のモデルが必要だが、提供されているもの以外に、文章とカテゴリのペアを記述したファイルをもとにカスタムモデルで作成し、利用できる。
Einstein Sentimentは感情分析である。文章をポジティブ、ネガティブ、ニュートラルに分類し、文章がどのような感情のもとに発せられたかを読み解く。たとえば、「今日のイベントは楽しかった。また、行きたい」という文章には「64%ポジティブ」。「昨日買った服が破れてしまった。あそこではもう買わない」には「59%ネガティブ」のように分析する。ラベル(ポジティブ、ネガティブ、ニュートラルの識別分類)は固定されるが、カスタムモデルを作り利用することも可能。
Einstein Languageは、さまざまなシーンでの活用が考えられる。たとえば、Einstein Intentを利用すれば、顧客による問い合わせに対して的確な応答を返すChatbotを開発できる。また、Chatbotでユーザが入力した文章がEinstein Sentimentによりネガティブと判定された場合に、有人チャットに切り替えるといった使い方も可能である。
当日のセッション資料および動画は公開されているので、より詳細な内容はそちらを参照したい。
[*] イベント実施(2017年9月27日)時点で、Einstein Languageは公開ベータテスト中です。正式リリース時には仕様が異なる可能性があることをあらかじめご了承ください。