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Raspberry Pi Zeroではじめよう! おうちで楽しむIoTレシピ

650円で買えるマイコンボード「Raspberry Pi Zero」でIoTをはじめよう! ~環境構築とLチカのレシピ

Raspberry Pi Zeroではじめよう! おうちで楽しむIoTレシピ 第1回


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 この連載では、約650円で買えるマイコンボードRaspberry Pi Zeroを使って、ITエンジニアがIoTを学べたり、家族で楽しんだりできるIoTレシピをご紹介していきます。第1回となる今回は、Raspberry Pi ZeroでLチカ(LEDをチカチカさせること)をするまでに必要な環境構築について紹介します。

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はじめに

 平 愛美(@mana_cat)と申します。本業はITエンジニアで、6歳と2歳の子ども(男児)がいます。趣味でブログを更新しております。

 なぜITエンジニアの私がRaspberry Pi ZeroでIoTをしているかというと、長男の言葉がきっかけとなっています。

 長男が4歳だった頃、オモチャのプラレールをリモコン操縦できるコントローラーを持ってきて、「リモコンが壊れてしまった。ママはどうしてオモチャを修理できないの?」と泣いていました。泣いている長男を見て、IoTを使って「IoTプラレール」を実現できないかと思いました。

 Raspberry Pi Zeroはプラレールの貨車に搭載できるサイズとしてもちょうど良く、価格も日本円で約650円とお手頃だったためです。それから試行錯誤をしながら、電子工作とIoTにチャレンジして今に至ります。

 この連載では、Raspberry Pi Zero W初心者でも始められる楽しい作例を、最終的にはIoTプラレールを作ってみるところまで、レシピ形式で紹介していきたいと思います。

Raspberry Piとは?

 Raspberry Piは、イギリスのRaspberry Pi財団によって開発されている小さなコンピューターです。

 日本では「ラズパイ」という愛称で親しまれています。Raspberry PiにはRaspberry Pi Bや、Raspberry Pi 3というようにたくさんの種類があります。その中でもコストと小ささを追求したRaspberry Pi Zero Wを使って今回の連載を進めていきます。

Raspberry Piが開発された目的

 Raspberry Piを開発しているRaspberry Pi財団は英国に拠点を置く慈善事業団体で、子ども向けのプログラミング教育や、コンピューターサイエンスを学ぶ機会を与える目的のため2008年に設立されました。Raspberry Piが販売開始されたのは2011年5月からで、2016年9月には世界での販売台数が1000万台を突破しています。

 公式サイトを覗いてみると、教育目的であることが分かりますね。

公式サイト
公式サイト

 また、近年では産業用途でも活用されるようになりました。Raspberry Piの発売当初はあくまでも教育目的で、プロトタイプを組むために用いられるコンピューターという位置づけでしたが、近年では産業分野でも注目されています。組込機器にRaspberry Piを搭載させるためのモジュール「Compute Module 3」も販売されています。

 教育だけではなくゲームを作ったり、電子工作と組み合わせてIoTを体感したり、楽しみ方は無限大に広がります。最近では、ロボット制御のミドルウェア「ROS」にRaspberry Piが活用されています。

Raspberry Pi Zeroとは

 今回、取り上げるRaspberry Pi Zeroはフリスクケース程度の大きさで、重量は9.0g。約650円の手頃さでどんなプロジェクトでも活用ができる小さいコンピューターです。

 本体の仕様は、以下になります。

Raspberry Pi Zero(v1.3)

  • 寸法:65 x 31 x 5 mm
  • 重量:9.0g
  • 価格:約650円
  • CPU:1GHz
  • メモリ:512MB RAM
  • ストレージ:microSDメモリーカードスロット
  • 映像出力:miniHDMI
  • カメラコネクタ:Raspberry Pi Zero用カメラケーブルコネクタ
  • USB 2.0ポート:microB OTG
  • 電源:microUSBソケット経由(+5V)
  • GPIO:40ピンGPIOヘッダ(※後述のとおり、ピンヘッダのはんだ付けが必要です)

Raspberry Pi Zero Wとは

 また、Raspberry Pi Zero Wは上記で紹介した Pi Zero(v1.3)を拡張したもので、以下のような無線通信機能が搭載されています。価格は1300円程度とこちらもお手頃です。

  • 802.11 b/g/n wireless LAN
  • Bluetooth 4.1
  • BLE(Bluetooth Low Energy)

準備するもの

 まずRaspberry Pi Zero Wを実際に動かすにあたって必要となるパーツや、電子パーツについてご紹介します。

 各種パーツは、既にご自宅にあるものを利用しても問題ありません。

前提条件

 本連載ではWindows 10でRaspberry Pi Zero WにOSイメージを書き込む例を紹介しています

注意点

 OSイメージの書き込み時にSDカードスロットのあるPCを使用しています。microSDカードを使用するときは、SDカードアダプタを別途準備します。

 microSDカード本体は薄く、力を加えたりケースなどと干渉すると壊れてしまうことがあります。筆者はこれまでに3回ほど壊しました。力を加減しながら優しく扱いましょう。

 Raspberry Pi Zero W は Wi-Fi/Bluetooth内蔵モデルとなっています。インターネット接続には内蔵のWi-Fiを使用することを前提として解説しています。ご自宅の無線LAN環境がRaspberry Pi Zero Wの規格(802.11 b/g/n)と合うかご確認ください(Raspberry Pi Zero Wの周波数帯域は2.4GHz帯のみ対応で、5GHz帯には対応していません)。

Raspberry Pi Zero Wのセットアップに必要なもの

 必要なパーツを揃えるのが難しい場合、Raspberry Pi Zero Wスターターキットがスイッチサイエンス社より販売されていますので、こちらも検討してみてはいかがでしょうか。

 Raspberry Pi Zero Wは現在のところ安定供給には至っておらず、簡単に入手できない場合があります。個人輸入になりますが、英国のPimoroniでもRaspberry Pi Zero Wを販売しています。現在は正しい技適マークを取得済みなので、日本国内でも安心して使用できます。もし国内での入手が難しい場合は、個人輸入にも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

Pimoroniで個人輸入したRaspberry Pi Zero W。技適マークと技術基準適合証明番号がプリントされている
Pimoroniで個人輸入したRaspberry Pi Zero W。技適マークと技術基準適合証明番号がプリントされている

 また、セットアップの前に、Raspberry Pi Zero Wのピンヘッダをはんだ付けします。安全に注意し、気を付けながらはんだ付けを行っていきましょう。

 なお、はんだごてがご自宅に無い、はんだ付けが苦手な方は、はんだ付け不要のピンヘッダがありますのでこちらも検討してみましょう(ハンマーを使用するため、指や製品を傷付ける恐れがありますので、こちらも注意しながらの作業になります)。

電子工作に必要なもの

電子工作に必要なもの
電子工作に必要なもの
330Ωの抵抗
330Ωの抵抗

 これらの電子パーツは秋月電子や千石電商で購入するとよいでしょう。通信販売などでも購入できます。

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この記事の著者

平 愛美(タイラ マナミ)

 熊本県出身のITエンジニア。2児の母で、趣味は写真とグルメ。最近はRaspberry Pi、Arduinoを使った家庭内IoTについて日々研究するIT系母ちゃんとして活躍中。主な著書は、『改訂3版 Linuxエンジニア養成読本』(寄稿、技術評論社 刊)、『Linuxシステム管理標準教科書』(共著、LPI-Japan)など。 ブログ:Mana Blog Next Twitter:@mana_cat

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https://codezine.jp/article/detail/10531 2017/12/20 20:00

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