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イベントレポート

無料のLinuxをベースに有料ビジネスを構築するためのヒント

「Linux /OSS Business Summit 2007」レポート


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LPI-Japanは3月6日、「Linux /OSS Business Summit 2007」を開催。Google、日立情報制御ソリューションズ、新日鉄ソリューションズのビジネス成功事例の紹介や、新設されたLinux技術者認定の最上位資格に関するセミナーを行った。

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 Linux技術者の認定機関LPI-Japanは3月6日、「Linux /OSS Business Summit 2007」を開催し、Linux/OSSを活用したビジネスの成功事例の紹介や、新しく設立されたLinux技術者の最上位資格LPIC Level3の紹介などを行った。

Linuxを利用したビジネス展開の展望

 最近のビジネス傾向として、従来まで有償だったサービスを無料で提供し、それに有償の付加価値をのせて提供するビジネスモデルが挙げられる。無償または無償に近い条件で利用できるLinuxもこれに当てはまるだろう。

 LPI-Japan理事長の成井弦氏は、この有償の付加価値をつける要はLinux/OSSに精通した技術者であるとし、LPI-Japanでは、Linux技術者の認定を通じて、日本のIT技術者・企業・教育機関の技術力を高めることに貢献してきたことを述べた。

LPI-Japan理事長 成井弦氏
LPI-Japan理事長 成井弦氏

 今回のセミナーは、企業の管理者を対象に、Linuxを用いたビジネスを展開している企業の成功事例を紹介することで、ビジネス発展のヒントとなる情報を得てもらうことを目的に行われた。

Googleと無料サービス

 冒頭の基調講演では、Linuxを利用して無料サービスを提供している代表例として、Google Japanの村上憲郎氏により、Googleが提供するサービスの一端が紹介された。

Google Japan代表取締役社長 村上憲郎氏
Google Japan代表取締役社長 村上憲郎氏

 Googleはほとんどのサービスを無料で提供している。なぜ多大な時間と人手をかけて開発したサービスを無料で提供するのか、無料サービスの提供によって何が起こるのか。

 Googleのサービスの特長は「世界中の情報を整理して、世界中の人がアクセスできて、使えるようにする」「それを無償で提供する」「収入はほぼ広告収入のみ」であり、これらを支えるのは技術であるという。そのため、いずれのサービスも検索エンジンの延長上にあり、たとえばメールサービスの「Gmail」もメールの検索に一番の根幹がある。

 Googleのミッションステートが意味するものは、「ユーザと情報・コンテンツを結びつける(ブリッジする)こと」。Google自身は、情報自身を所有も占有もせず、場所を指し示すだけであることを強調した。

 創業者の2人が最初に学んだ教訓「良いものを作れば、ユーザーは集まる」に則り、また無償でサービスを提供するため、自作マシンとLinuxによるインフラを構築し、コンピュータシステムのコストを最小に抑えるよう努力しているようだ。

 Googleの強みは、「優れたエンジニア」「世界最大規模のインフラ」「ユーザーにとっての最大の問題」というテクノロジーサイクルにあり、ユーザが潤沢に使えるコンピュータシステムがあることによって、初めて実現可能なサービスが生まれてくるという。

 また今後は、ネット以外の情報検索(書籍など)や、インデックス化できない部分(デスクトップ上やイントラネット、モバイルサイト)の整理などにも注力していくと意欲を示した。

 シンプルな戦略と、徹底したコストカットによってスケールアップされたインフラが、ユーザーフレンドリーな無料サービスの数々を支え、それが最終的にビジネスに結びついているという強い印象を受けた。

Linuxのビジネスへの適用

 続いて、日立情報制御ソリューションズの飯島三朗氏が、同社におけるLinuxの製品適用例とビジネス展開、社内におけるLPICの活用方法について紹介した。

株式会社日立情報制御ソリューションズ 開発ビジネス本部 エンベデッドソリューション部 主任技師 飯島三朗 氏
株式会社日立情報制御ソリューションズ 開発ビジネス本部 エンベデッドソリューション部 主任技師 飯島三朗 氏

 ネットワークが進化してくると、情報と制御を密接につなぐことと、制御のデータをいかに経営に役立てるかが重要であると述べ、同社では「情報と制御のシナジー」をミッションにしているという。

 主な事業構成は「社会インフラ」「産業・流通」「組み込みシステム」「セキュリティ」の4本柱からなる。1998年からLinuxに取り組み始めており、2002年にLPIC取得を開始し、2003年にはLinuxビジネス推進センターを開設している。

 Linuxが利用され始めた経緯として、ワークステーションからダウンサイジングし、PCベースのコンピューティングに移行してきたことを挙げた。また、ネットワーク接続できることなどから、組み込みシステムへの適用も拡大しているようだ。

 このような流れの中で、Linuxの何がよくて、何に注意しなくてはいけないかを把握する必要があるという。特長として、次の点を挙げた。

  • オープンソースである
  • 自力で障害対策できる可能性がある、開発コストの低減へ。
  • 24時間の連続運転ができる
  • 公共性の高い分野に適用可能、機器組み込みソフトにも安心。
  • 安い導入コスト
  • 製品コストの低減。
  • ネットワーク機能の充実、Unix互換

 逆に、Linuxを使う上での注意点/対応例も述べた。

  • 障害発生時のメーカーサポートがない
  • ディストリビュータとのサポート契約、RAS機能(メモリダンプ、WDTなどの事前組み込み)。
  • パッケージソフトの動作保障がない
  • パッケージソフト供給元との協業、使い込みによる実績づくり。
  • 最新ハードのサポートが遅い
  • 最新バージョンの取り込み、動作可能ハードの定義、情報発信の仕方。
  • エンディアン、アライン、システムコールI/Fなどに違いがある
  • 事前のソースチェック、移行ノウハウが必要。
  • 立ち上げ、停止時間がかかる
  • 運用でのカバー、ディスクレスでの構築・運用。

 最後に、Linuxをビジネスに活用する上でのポイントとして、次のようにまとめた。

  • Linuxのよさを活かして製品・ソリューションを提供する。
  • Linuxだけを使うのがよいわけではなく、留意点を常に意識して対応する必要がある。
  • Linuxのよさを十分引き出すには、Linuxの技術が必要。これを測るひとつの尺度としてLPICが挙げられる。

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