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CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

【Developers Boost】セッションレポート

「こんなにエンジニアが価値を出せる時代はない」――どのような未来に賭けるか【Developers Boost】

【C-1】U30エンジニアとしての技術的投資戦略


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 2018年12月15日、翔泳社主催の若手エンジニア向けカンファレンス「Developers Boost(デブスト)~U30エンジニアの登竜門~」が開催された。登壇したのは、企業の中核を担う30歳以下(U30)の若手エンジニアだ。基調講演に登壇した、BEDOREの安野貴博氏は「U30エンジニアとしての技術的投資戦略」と題して、自らの経験とU30がとるべき戦略について提案した。

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BEDOREが提供している自然言語処理のサービスの強みとは?

株式会社BEDORE Founder 安野貴博氏
株式会社BEDORE Founder 安野貴博氏

 安野貴博氏、BEDOREのファウンダーであり取締役だ。同社は「言葉がわかるソフトウェアを形にする」というミッションを掲げ、自然言語処理や機械学習のサービスを提供している。主要なプロダクトにはAIを活用した自動応答エンジンがある。コンタクトセンターやコールセンターに寄せられる質問で簡単なものはAIで一次応答し、難しい質問は人間に渡すことで生産性を高めている。

 現在はLINE、Web、ネイティブアプリ、Google Home、あるいは電話など、さまざまなチャンネルに対応している。LINEの企業公式アカウントで使われていることもあるという。

 特徴は2つ。1つ目は精度が高いこと。日本語やコールセンターのFAQに特化したアルゴリズムを磨きこんでいるため、同じデータセットでも高い精度を出せる。2つ目はエンジニアではないオペレーターでも運用しやすいダッシュボード。AIに学習をさせていても、想定外の質問にはAIが適切な回答が出せないことが多く、本番運用後のチューニングが精度を高める上で重要になるためだ。

学生時代はディープラーニングの黎明期、未踏プロジェクトへの挑戦

 学生時代には東京大学工学部の機械学習やデータ分析をしている「松尾研究室」に所属していたという安野氏。『週刊ダイヤモンド』で紹介された「東大・松尾豊研究室の人脈」によると、安野氏の2学年上にGunosyの関喜史氏と吉田宏司氏、1学年上にPKSHA Technologyの山田尚史氏がいて、どちらも上場している。AIなど最新技術を活用した起業家を多く排出している研究室だ。

 安野氏が研究室にいた2012~2014年はディープラーニングの黎明期。ILSVRCという学会で画像認識のコンペティションをしており、2011年まではディープラーニングを使わない手法でエラーレートが28~25%だった。ところが2012年からAlexNetというディープラーニングをベースとしたアルゴリズムが出ると、エラーレートがいきなり16.4%に激減。その後も下がり続けるのを目の当たりにして「ディープラーニングすごいな。今後間違いなく立ち上がる(領域だ)」と直感したという。

 卒業後の安野氏はコンサルティングファームに就職した。「事業を作れる人になりたい」と考え、多様な業種の人と経験を積める場を選んだ。

 当時の雰囲気を象徴する印象的な出来事があったという。ある朝、先輩とエレベーターで乗り合わせたところ、先輩が「安野さん、あなたはエレベーターの乗り方を知らないんですか?」と言われて「何か失礼なことをしたのかな」と困惑したという。すると先輩は「今[15階]を押してから[閉める]を押したでしょ。違います。[閉める]を押してから[15階]を押すのです。これで2秒稼げますよ」と説明した。エレベーターで2秒節約するほど、何が最適解か最短か、徹底的に追求するところということだ。「多くの学びがありました」と安野氏。

 そのコンサルティングファームでの学びからヒントを得て、経済産業省所管のIPAが実施している「未踏プロジェクト」に応募した。開発したのは「LIGHTNING UI」、機械学習を用いてユーザーの次のクリックを予測する新しいユーザーインターフェースだ。ユーザーの操作をソフトウェアで監視して、次に押されそうなボタンを提示することで作業効率を高める。

ペッパーと同級生が組んでM-1グランプリに挑戦

 ほぼ同時期、安野氏はペッパー漫才に挑戦した。当時はちょうどロボットのペッパーが登場したところだった。安野氏は「よくできているものの、握力がないので何かを持つことができない。話すことはできても、賢い対話システムがあるわけでもない。しかしヒト型でジェスチャーがきれい。どんなところで価値が出せるだろうか」と考えていた。

 そんな中、高校の同級生が芸人を目指して吉本のスクールに通いはじめた。しかし「一緒に漫才を組んでくれる相方がいない」という悩みを持っていた。話すことしかできないロボットと、一緒に話をしてくれる相方を探している芸人が安野氏の脳内で結びついた。M-1グランプリに挑戦し、2回戦まで突破したという。

 ペッパーはあらかじめ用意された台本通りに発話する。漫才用語だと「笑い待ち」と言い、漫才師は観客が笑い終わってから次の発言に進む。このタイミングがとても重要となる。100msのレベルでタイミングを合わせる必要があるのだが、当時のペッパーは今ほど完成度が高くなく、Wi-Fiの電波状態次第で300~600msほどレイテンシーが発生していた。安野氏は現場で遅延状況を調べて、それに合わせてボタンを押す練習をしていたそうだ。

 最近ではVTuberにも興味があり、川端康成を解説するVTuberを作るなど、挑戦することに積極的だ。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Onlineの取材・記事や、EnterpriseZine/Security Onlineキュレーターも担当しています。Webサイト:http://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/11311 2019/02/26 20:18

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