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【デブサミ2019夏】セッションレポート(AD)

スタートアップ創業期のプロダクト開発における4つの不確実性と対処法【デブサミ2019夏】

【B-8】 スタートアップの創業期から不確実性を乗り越えるためにやってきたこと

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 不確実性はリスク。スタートアップにとってはなおさらだ。保育園向けサービスを展開するユニファで、CTOを務める赤沼寛明氏は自社が抱える不確実性を列挙し、それぞれにどのように対処してきたかを具体的に紹介した。

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ユニファ株式会社 取締役CTO 赤沼寛明氏
ユニファ株式会社 取締役CTO 赤沼寛明氏

開発にまつわる4つの不確実性

 ユニファのキーワードは家族とテクノロジー。IoTやAIの力を活用することで、保育業務の負担軽減や保育の品質を向上する「スマート保育園」の実現を目指し、子どもの写真共有や睡眠・体温管理など、保育園向けのサービスを提供している。設立は2013年とまだ若い。ユニファが抱える不確実性として赤沼氏が挙げたのが、プロダクト、プロダクト構築方法、プロダクト運用、開発組織。それぞれ詳細に見ていこう。

プロダクトの不確実性

 プロダクトに関連する不確実性には、プロダクト仕様の漏れやユーザー要求の変化がある。特に後者は他社動向だけではなく、補助金や法令・条例など社会制度の動向も含まれる。こうした不確実性は事業の方向性や販売戦略、あるいはUIやUXといったユーザビリティを左右するものとなる。

 この不確実性への対策として挙げられるのが、ユーザーヒアリング、保育園内業務体験、プロトタイプ検証だ。ユニファのアプリが使われるのは主に保育園なので、現場の情報をできるだけ収集するようにしている。ヒアリングは保育園の保育士や園長だけではなく、社員と接点がある保護者ユーザーにも行い、現場の課題感を親身に聞き取っている。

 また保育園に協力いただき、ユニファの社長から社員まで多くが保育園内業務を体験している。実際に保育業務に関わることで、現場にどのような課題があるかをつかむ。業務の合間に可能なら保育士らへのヒアリングも進める。多くの社員が保育業務の大変さを実感しているという。

 プロトタイプ検証も実直に実施している。実際に一定期間、保育園で使用していただき、現場の業務に耐えられるか、導入する意義を感じてもらえるのかを丁寧に確認している。

プロダクト構築方法の不確実性

 プロダクトを構築していくうえで、必要な作業を全て最初から把握することはできない。ほかにも技術的な難易度や実現可能性も不確実であることが多い。それは不具合やバグの混入、見積もり、仕様の具体性などに影響していく。

 この不確実性への対策として挙げられるのが、抽象的な要求を具体化していくこと、大きな問題をブレイクダウンして解決可能な小さな問題に割っていくこと、加えて技術的な不確実性を吸収するセーフティーネットを用意することなど。

 具体的な対応策となるのが早期のQA採用とR&Dチームの設置だ。QAはプロダクトの品質を担保するだけではなく、上流から加わることで仕様のバグを防ぎ、エンジニアが安心して開発に集中できるようにする。R&Dチームは先行投資となる。

プロダクト運用の不確実性

 アプリがリリースされ運用が始まると、突発的なアクセス増加やユーザー数増加による性能劣化が起こる。特に保育業界だとイベント直後は写真のアップロードが集中するため、サーバーが対応できるようにしなければならない。ほかにも外部サービス起因の障害、外部ライブラリの保守にも対応していく必要がある。

 この不確実性への対策として挙げられるのが、柔軟に変更できるインフラ環境、あるいはスケールしやすいアーキテクチャーを構築可能なインフラ環境を用意しておくことだ。

 実際、ユニファはAWS(Amazon Web Services)へインフラを移行した。業界特有のアクセスピークに対して、柔軟にリソースの追加変更ができるなど、クラウドサービスのメリットを採り入れた。赤沼氏は「サーバーレスなどスケールしやすい構成を少ない手間で構築できるようにしています」と話す。

開発組織の不確実性

 開発に携わるメンバーに関しても、キャリアやスキルアップ、モチベーション、評価などで不確実性が多くある。

 この不確実性への対策として挙げられるのが、会社とメンバーのビジョンを相互理解すること、メンバーのキャリアパスを考慮してアサインすること、メンバー間の相互理解や技術共有など。

 ユニファで実施しているのが1on1、ビアバッシュ、テックブログ、ポッドキャスト。1on1はCTOとメンバーが週次で15分を目安に実施している。内容はメンバー主導で、話す内容がなければメンバーはキャンセルしてもいいが、CTOからはキャンセルしない。そのためメンバーは「わざわざ時間をとってまで話すことではないが、場があるなら」と切り出してくれる話が多いという。これが相互理解や早期の目標の軌道修正などに役立つ。

 互いに話しやすい環境を用意することも大事だ。ビアバッシュは月に1度、2時間程度設けている。任意参加で、主にLTをしたい人・聞きたい人が集まる。リモート参加もOKとなっている。技術力のアピールや発表練習にもなる。

 テックブログはメンバーが持ち回りで書いており、アウトプットの習慣化や技術向上のきっかけとなる。もう1つ、アウトプットの習慣化となるのがポッドキャスト。CTOが出演者をアサインし、イベント後などに収録する。不定期だがコンスタントに続けているという。

 最後に赤沼氏は心がけとして「正しいものを作っているか、正しい作り方をしているか、正しく変化に備えているか、正しく理解しようとしているかをいつも意識するようにしています」と話した。

お問い合わせ

 ユニファ株式会社

 

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/11641 2019/08/08 12:00

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