「GitHub for mobile」発表、スマホ版の狙いは?
GitHubのモバイルアプリ「GitHub for mobile」(iOS、Android、iPad対応)が発表され、同日からiOSのベータ版が提供を開始した。
Ryan Nystrom氏(Director Of Engineering)はこのリリースの背景について、「今日では開発者はコードを書くだけではなく、チームメンバーとコラボレーションしたり、コードをレビューしたりするのにコンピュータを使っている。コンピュータなしで物事を動かし続けるのは難しい。これが“GitHub for mobile”をリリースする理由です」と話した。
ちょっとしたレビューやディスカッションなど、複雑な開発環境を必要としない作業をどこからでも実行できるように開発されたというGitHub for mobile。
アプリ上では、コードの差分やイシューの確認、コードレビューや変更のマージなどを行うことができ、開発者のワークフローに合わせて柔軟に活用できそうだ。
メンションがあった場合のプッシュ通知はもちろん、ホーム画面にお気に入りのリポジトリをピンできる機能や、イシューをすばやく作成できる機能など、開発者の“時短”を実現する仕組みが特徴的。開発者にはうれしいダークモードにも対応する。
iOS、Android、iPad版と、一見デザインは似ているが、それぞれのプラットフォームを尊重してデザインされたネイティブアプリ。Android用のベータ版も近日公開予定とのこと。
通知機能の強化、GitHub Sponsors、Enterprise…そのほかのアップデート
今年5月に発表された、オープンソース開発者を経済的に支援できるサービス「GitHub Sponsors」も、新たな機能を追加。開発者個人だけでなく、チームごとのサポートも可能になった。
その他にも、以下の既存機能の拡張や新機能が発表された。
- 通知管理(制限付きベータ版)
- コードナビゲーション
- コードの検索(制限付きベータ版)
- コードレビューの割り当て(ベータ版)
- リマインダー機能(制限付きベータ版)
- 機能プレビュー
現時点でベータ版の機能も、今後全ユーザに展開していく予定。
また、GitHub Enterprise Serverの最新版2.19がリリースとなった。
貴重なオープンソースコードを次世代に確実に引き継ぐために
Keynoteの最後に発表され、会場の驚きを呼んだのが、ソースコードを1000年にわたって保護するという、文化保全にも似た新プロジェクト「GitHub Archive Program」。「次世代のためにオープンソースソフトウェアを保護する」という使命のもと、スタンフォード大学図書館、Long Now Foundation、Microsoft Researchなどと協力し、あらゆるデータ形式でさまざまな場所に、継続的に世界中のオープンソースコードのコピーを保存。保存場所には、GitHub Arctic Code Vaultと呼ばれる、少なくとも1,000年は存続する非常に長期的なアーカイブも含まれるという。
GitHub Actionsの正式リリースから、GitHub for mobileの新発表、GitHub Sponsorsというコードを書く以外の新しい貢献の手法や、既存機能の細かな改善、そして貴重な知識としてのオープンソースコード保全プロジェクト。今回発表された事業は想像以上に多様だった。
GitHubはこれからも開発者のニーズに着実に応えながら、オープンソースの世界をけん引するリーダーとしての責任を果たすべく、多彩にプロジェクトを拡大していくだろうと伺えたKeynoteだった。