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共創とDevRelを活かした開発者のキャリアアップ術とは

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 新しいテクノロジーが次々と登場し、開発者にとって、それらをキャッチアップしていくのは大変な状態です。業務という枠を超えて新しい技術を学び、試し、自分の力にしていく際にはコミュニティやDevRelの力を借りるのがお勧めです。この記事ではDevRelがあなたの仕事、またはプライベートでの開発にどう役立つのか、紹介します。生産性を上げられるのはもちろん、皆さんのキャリアにとってもプラスになるはずです。

目次

はじめに

 「人をダメにするソファ」は聞いたことがありますか。正式名称は無印良品の「体にフィットするソファ」です。あまりにも体にフィットしすぎて、ついついだらけてしまうという製品で、我が家にも3つほど転がっています。会社のフリースペースに置いてあるという人も多いでしょう。あの体にフィットするソファは無印良品をよく使う方々と無印良品とが話し合って企画した商品だと知られています。ユーザの声を聞き、製品開発に活かす活動は共創として知られています。

 現在、IT業界でもユーザの反応を見て開発に活かす事例が増えています。例えばアジャイル開発やDevOpsもそうです。数か月かけて大きなものを作り上げるのではなく、小さくリリースしてユーザの反応を見て、取りやめたり改善したりします。ソフトウェアの場合、ソファほどリリース後の修正コストが大きくないので、より小さな単位で開発サイクルを回して反応を確かめられるのです。

 さらに一歩踏み込んで、ユーザの生の声を聞いて開発現場や製品開発にフィードバックする活動も増えています。私が携わっているDevRel(Developer Relations)がその一つです。よく知られているところとして、SDKをオープンソースとして公開してユーザからの機能追加を受け入れる、ドキュメントの末尾にGitHubへのリンクを付けて、開発者が修正を指摘できるようにするといった例があります。企業やその製品が開発者に受け入れられるよう、アピールしたり、開発者をサポートしたりする活動になります。開発者は忙しいので、新しくできたサービスにすぐに飛びついてくれる訳ではありません。ちゃんと知ってもらって、使ってもらうための工夫が必要なのです。

どんな機会があるのか

 DevRelでは様々な方法で開発者の方たちとコミュニケーションを取りたいと考えています。簡単にいえばオフラインとオンラインの活動に分けられます。オンラインであれば、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディア、TeratailやStack OverflowといったQ&Aサービス、さらにSlackなどのチャットツールが挙げられます。発信だけみれば、ブログや公式サイトにあるドキュメントも重要です。皆さんがサービスを使いやすいように下地を整えたり、使っていて何か困ったことがあればすぐにサポートできる体制を整えています。

 オフラインはさらに多彩です。例えばハッカソンは大きな機会です。ハッカソンは企業が主催する場合もありますし、メンターとして呼ばれることもあります。1〜2日といった限られた時間の中で成果を出さないといけないハッカソンでは、利用するのに手間取っている暇がありません。そこでメンターの力を借りて、どんどん作り上げていくのがお勧めです。メンターの多くは企業のエバンジェリスト、アドボケイトと呼ばれる人たちが多く、その製品の技術的なエキスパートです。利用法やテクニックを熟知していますので、どんどん相談してみるべきです。

 さらに開発者コミュニティがあります。プログラミング言語のコミュニティのような、すべてボランティアで運用されているものもありますが、企業のサービスを利用する開発者が集まったユーザグループも数多くあります。そうしたグループは毎月、または数か月に一回イベントを行っており、サービスを日々使っている人たちが集まって、その知見を交換しています。面白いのは、公式では出てこないような情報が共有できるということです。実際のところどうなのか……といった込み入った質問でも、利用者同士であればしやすいはずです。もしあなたが新しいサービスを導入するかどうか悩んでいるなら、その製品のユーザグループがあるかどうか調べて、一度参加してみるといいでしょう。

 サービスを使い始めた初級者の方向けとして、ハンズオンはぜひ参加してほしいイベントになります。基本的な利用法はもちろんのこと、手順に沿って進めていくことでアプリを作ったり、一つの技術を習得できます。中級者、上級者向けのハンズオンもありますが、参加人数が限られてしまうのが欠点です。そのため、多くの場合ハンズオンは初心者向けに行われます。もし、あなたが新しいサービスを使い始めたならば、ハンズオンに参加して基本的な使い方をマスターするのをお勧めします。

 サービスを使い始めて慣れてきたら、もくもく会に参加するのもお勧めです。もくもく会は日本オリジナルの文化で、みんなで集まって自分の作業に没頭するだけの時間です。基本的におしゃべりはせず、自分の作業に集中します。人は弱いもので、すぐに心が流されてしまいます。仕事をしないと、と思いつつもメールをチェックしてしまったり、ソーシャルメディアに書き込んでしまったり、さらにWebブラウジングに没頭してしまった経験はないでしょうか。一人で長時間集中して作業するというのは、本当に大変なことです。そこでもくもく会では同じ技術に興味がある人たちが集まって、2時間〜半日程度作業します。同じ技術を知っている人であれば、何か困った時にフォローし合える関係があります。DevRelを行っている企業が、自社の会議室やイベントスペースを解放してもくもく会を行っているケースがあります。今日中にこの作業を終えたい、といった強い思いがある方は、ぜひもくもく会に参加して欲しいです。

 技術系のセミナーやウェビナーも活用して欲しいです。オンラインのドキュメントをはじめ、公式情報は基本的に公開されているものを読むだけです。なるべく分かりやすい表現を心がけていると思いますが、それでも初心者にとっては難しい単語であったり、前提知識が必要な場合があります。そうした時、セミナーやウェビナーで座学で学べる機会を活かしてほしいです。質疑応答の時間も用意されていますので、そこで質問してみるといいでしょう。エバンジェリストやアドボケイトが参加している場合には、技術的な質問にも答えてくれるはずです。


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著者プロフィール

  • 中津川 篤司(株式会社MOONGIFT)(ナカツガワ アツシ)

     株式会社MOONGIFT代表取締役。ニフクラ mobile backend、hifive 、CloudGarage エバンジェリスト。プログラマ、エンジニアとしていくつかの企業で働き、28歳のときに独立。2004年、まだ情報が少なかったオープンソースソフトの技術ブログ『MOONGIFT』を開設し、...

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