部分最適ではなく全体最適できる組織に
――NewsPicksは企業として成長を続けていますが、それに伴い開発体制に変化はありましたか?
文字:組織の規模が拡大していくに伴い、いくつかの課題が生じてきています。
まず、メンバーから挙がってくる要望が多くなるにつれて優先順位づけが難しくなっていること。この課題に対しては、優先度を明確にするための会議を設け、代表取締役社長の坂本(大典)と高山、私のほか数名で方針策定のためのディスカッションを行って対応しています。昨年まではこうした判断も事業部側に任せていたのですが、組織の規模が大きくなってきた結果、やや事業部最適に陥ってしまったという反省があり、このように変えました。
次に、多種多様な機能を持つ「NewsPicks」というプロダクトを、いかに統合してちぐはぐにならないように育てていくか。これまで当社では、プロジェクトベースのタスクフォースを組成して、新規事業の立ち上げや既存プロダクトの改善などを行ってきました。この手法は短期的な開発スピードが向上する一方で、プロダクトの全体像を見据えた開発が行いにくいという欠点があります。この課題を解決するため、プロダクトを横断的に見るチームをつくり、全体のバランスを取ろうとしています。
そして、物理的に1人のオーナーがすべての事業やプロダクトを見ることは不可能な規模になっていること。この課題については、組織設計の再編と権限委譲を推進し、複数の役員がそれぞれ異なる領域を受け持つことで解消していく方針です。
――文字さんと高山さんは2020年2月に現職に就任されましたが、それには組織設計の再編という意図があったわけですね。高山さんはCTOとして、どのような開発組織を目指されていますか?
高山:開発組織がプロダクトの成長を支えていくには、たとえ人数が増え続けたとしても、全員が同じ方向を向きながら開発に従事できる体制を築かなければならないと考えています。
そのためには、先ほどのミッションやバリューの話にもあったように、自分たちの軸となる価値基準を明確化し、チームに浸透させることが重要です。個々人が異なる目的を持って動くのではなく、全体として1つの生命体であるかのように、協調性を持って動ける組織を目指したいです。
私は前職でもCTOを務めており、開発組織が小規模なチームだった頃から、大規模なチームへと成長していく過程を経験してきました。前職で培った知見をNewsPicksでも生かし、より良い開発組織をつくっていきたいです。
プロダクトマネージャーに必要なのは、信頼
――最後に、ProductZineがプロダクトマネージャーや同職を目指す方に向けたメディアであることにちなみ、おふたりの考える「プロダクトマネージャーにとって必要な要素」を教えてください。
文字:前提として、プロダクトマネージャーは“信頼”が大切な仕事だと考えています。多くの場合、プロダクトマネージャーを担っている方は最初からプロダクトマネージャーだったわけではなく、何らかの職種で結果を出してきた方が同職を担うケースの方が一般的だと思っています。特にスタートアップ企業はその傾向が強いはずです。
なぜなら、プロダクト開発はそもそも不確実性と固有性の高い挑戦であるため、プロダクトマネジメントの知識をインプットしただけでは成功にたどり着くのが難しいからです。むしろ、目の前のプロダクトやユーザーと徹底的に向き合い続けた人に裁量や権限を与える方が、成功確率が高くなります。
――だからこそ、日頃から他者の信頼を得ていくこと、信頼のおける人にプロダクトマネージャーを任せることが重要なのですね。
文字:それから、次の3つの要素を持っている方は、プロダクトマネージャーとして活躍できると思います。
1つ目はスキルのエッジ(得意領域)があることです。エンジニアリングやデザイン、ビジネス開発など何でもいいです。エッジがあることでメンバーをリードでき、信頼を得ることも可能になります。
2つ目は、セルフドライブ型のマインドセットがある人。自分で自分をワクワクさせられる人ですね。プロダクトマネージャーがワクワクしていないのに、周りのメンバーがついてきてくれるはずはないですから。
3つ目は、プロダクトに対する情熱を持ち、自分なりのスタンスや具体的な方針を明快に話せること。この要素がなければ意見がブレてしまい、いろいろな人の意見を中途半端に取り入れたエッジのないプロダクトが生まれてしまいます。
――高山さんはいかがでしょうか?
高山:先ほど文字からもありましたが、私も信頼が大切だと考えています。プロダクト開発においては、さまざまな役割の方々とうまく連携を取りながら、プロジェクトを円滑に進めていくことが求められます。プロダクトのKPIそのものにもコミットしなければなりません。そうした難易度の高いタスクを担うには、すべてのステークホルダーの信頼を勝ち取っていくことが必要不可欠です。
――プロダクト開発者にとって、学びの多い言葉ばかりでした。本日はありがとうございました!
