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デザイナーの力を拡張するために必要なこと――3つのキャリアを軸に活躍の場を広げる平澤克幸さんが解説

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ブランドバリューをまとめるために必要な3つのスキルセット

 最後に、デザイナーがブランドバリューをまとめるために必要なスキルセットについて考えてみました。不可欠なスキルは、下記の3つではないでしょうか。

  • ビジネスサイクル思考:ビジネスの仕組みや収益構造を理解し、より良くするためにできることを考える。
  • マーケット分析思考:サービスの役割やイメージが、ユーザーにどう理解されているか把握する。
  • 価値変換力:ユーザーがサービスに触れる知覚品質を考え、言葉やビジュアルに落としこむ。

 プロダクトとして大切にしたい価値観やブランドバリューをつくるには、何を差し置いても、プロダクトの全体像を理解することが欠かせません。まずはいま関わりのあるビジネスの中で考えを深め、収益の仕組みやバリューチェーンを考える「ビジネスサイクル思考」をもつことで、自社サービスの中のユーザーを魅了する価値の源泉をみつけやすくなります。

 自社のサービス独自の価値観を見つけたとしても、ユーザーにどのように認知されているかを客観的に把握することができなければ、それは正しい判断基準とはいえません。自社や他社のサービスがユーザーからどんな機能を評価され、どんなブランドイメージを想起させているのか。そして自社サービスから離れ、業界を俯瞰してポジショニングを見つめる「マーケット分析思考」が重要なのです。

 また、ブランディングを検討するうえで大切な指標のひとつに「マインドシェア」という概念があります。さまざまなコミュニケーションや知覚体験を通し、ユーザーの記憶のイメージをいかに戦略的に独占するか、という考えかたです。ユーザーが感動する体験を通じて得られる記憶は心に残る体験であるほど深く脳内に補完され、カテゴリーの象徴として記憶に残ります。そんな体験イメージを継続的にアップデートしつづけ、ユーザーの身近な存在となるが、ブランディングの長期戦略の達成すべきゴールとなります。

 自動車メーカー・BMWは、スローガンとして掲げている「駆け抜ける喜び」からもわかるように、走りの中で味わう高次元の感動を長期戦略としています。またスターバックスが掲げる「第3の場所-3rd Place-」という戦略ワードからわかることは、おいしいコーヒーの提供することを戦略指標とするのではなく、スターバックスというお店がユーザーが、自宅や学校または会社でもない、第3の居心地の良い場所としてユーザーに利用されることを重要視しているということです。

 そのサードプレイスによって知覚する“心地よいひととき”を覚えてもらうために、ユーザーのマインドシェアに向き合っているといっても過言ではないでしょう。

 プロダクトの中で大切な価値観を、言語化したスローガンメッセージや、言語として伝えられない非言語の世界観を考える力が、3つめの「価値変換力」、つまりクリエイティビティです。

 これら3つのスキルセットのうち、前者のふたつはマーケティングやプロダクトマネジメントの領域に踏みこむものです。このふたつの力を習得することで、デザイナーのキャリアパスとしても活躍の機会を広げつつ、組織でもデザイン経営の実践につなげることもできるのではないでしょうか。

 次回は、「デザイナーが実践するブランド戦略~デザイナー主体でつくるブランドバリュー・システム」と題し、ブランドバリューの具体的な項目とまとめかたについてお伝えしたいと思います。

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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https://codezine.jp/article/detail/13174 2020/11/09 10:00

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