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[最終回]フェーズごとに考える、クリエイティブディレクターに求められる役割とは

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アイディア選びで覚えておきたいスキルとは

 もうひとつ、アイディアを選定する段階で役立つスキルとして、「リファレンス力」を鍛えるというものがあります。これは、国内外の優れたマーケティングやクリエイティブの事例を浴びるように見て、自分の中にストックしておくことを意味します。

 自分自身の引き出しを増やすことによって、PR、SNS、デジタル、デザイン、映像、セールスプロモーションなど多様な視点から、アイディアを磨き上げる道筋を見つけ出すことができるようになります。優れた音楽家が、過去の名作を知り尽くした上で自分なりの表現を見出すように、際立った事例を大量にインプットしておくことは、企画の質を高める上で非常に重要なことだと思っています。

 参考までに、海外の優れた事例を学びたい人は、国際広告賞の受賞事例がアーカイブされたサイト「ONE SHOW」と「CLIO AWARDS」を見ることをオススメします。自分の関心のある部門を選ぶことができ、かつプロジェクトの概要が2分間のビデオにまとまっているので、隙間時間でも効率よくインプットすることができます。さらに余力のある人は、それぞれの事例のコアアイディアを短い文章でまとめてリスト化するのも良いトレーニングになると思います。

 大量にあったアイディアを2〜3案に絞り込みプレゼンテーションに臨みます。プレゼンは必ずしもクリエイティブディレクターが務めなければならないわけではありませんが、クリエイティブの責任者として担うケースが多いです。この際に重要なのは、クリエイティブディレクター自身がアイディアを誰よりも深く考察して、あらゆる角度から考え抜いていること。アイディアを絞り込み磨き上げるプロセスで、この企画をやるべき理由を明確に言語化できていれば、その言葉に説得力が生まれると考えています。

 企画の実施が決まった段階では、チームメンバーに表現として目指すべき到達点を示し引っ張っていくことが求められます。もしクリエイティブディレクターが間違った方向にチームを導いてしまうと、表現として詰めの甘いものが出来あがってしまったり、思うような結果や反響に結びつかない可能性があります。

 「決める権限を持つ」ことは、その結果責任を全面的に引き受けることと同じ。人の話を受け入れる柔軟性だけでなく、あえて意見に耳を傾けずやり通す意思の強さや、粘り強くやり遂げる精神力も必要になると感じています。

 最後になりますがこの連載は、面白いアイディアがあるのになかなか実現まで至らない、斬新な企画を世の中に打ち出したいけれど何から始めたらいいかわからない、そんな風に考えるクリエイターやマーケターの方に向け、「面白いアイディア」を実現するためのヒントをお伝えするべく続けてきました。

 アイディアを生み出し実現させることの意味は「自分の未来を、自分自身で作り出す」ことにほかならないと思っています。

 自分の頭の中だけで想像していたことが、やがて多くの人の手を借りながら誰かの役に立つものとして形となる――。アイディアを考えるのに特別な才能も経歴もリソースも必要ありません。まずはできる範囲から始めてみることで、数ヵ月先の仕事の中身が少しずつ変わってくるのではないでしょうか。

 本連載によって、皆さんの引き出しの中に眠っている渾身のアイディアを世の中に出すお手伝いができていれば幸いです。長きにわたる連載にお付き合いいただきありがとうございました!

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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https://codezine.jp/article/detail/13520 2021/01/21 08:00

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