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未来を描き、変化に対応するために 「ビジネスによって問題提起をする力」をアート作品に学ぶ

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シナリオプランニングで発想する

 では、ビジネスでどのように問題提起をし、未来を描いていくべきなのだろう。そのアプローチとして、シナリオプランニングという手法がある。影響の大きい因子を軸に、将来起こりうるシナリオを複数描き、そのシナリオに対して戦略を策定するというものである。

 シナリオプランニングの具体的な手順は、以下のとおりだ。

  • 課題を設定する
  • 未来を変える可能性のある要素をリサーチする
  • リサーチ結果から、特に影響の大きい因子をふたつ抽出する
  • ふたつの因子の掛け合わせから4つのシナリオを描く

 石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェル社が、その事例として有名だ。1973年の第4次中東戦争が勃発により生じた石油危機において、シェル社は事前に「石油価格が現状を維持するケース」、「OPECが主導して原油価格が高騰するケース」を想定し、それに備えていた。競合他社が事後対応で苦戦する中、当時業界下位に低迷していたシェル社は業界2位までのし上がった。

 すべての未来を予測することはできない。ビックデータによる分析がどんなに進んだとしても、不確実なことは起こりうる。しかし、データ分析による予測は過去の積みあげであり、ゼロベースで未来を創造することが、新しい道を切り開く――。その際に重要なのは、アーティストのように描く力、つまり創造力と想像力である。

 少し前に六本木の森美術館で開催されていた「未来と芸術展 AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」では、アートやデザイン、建築を通して、近未来都市やさまざまな社会課題を考えることをテーマにしていた。このような未来のビジネスを考えることとアート思考は相性が良いのではないだろうか

森美術館で行われた「未来と芸術展 AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」(筆者撮影)
森美術館で行われた「未来と芸術展 AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」(筆者撮影)

まずは身近な未来を描く

 日々のタスクを遂行しているクリエイターやビジネスパーソンには、アーティストのように未来を描くことは、求められている結果に直接紐づかず、現実性がないように思えるかもしれない。

 しかし、どんなシナリオでも細分化して行き着く先は現場担当者になるはずなので、シナリオプランニングの手法はどの立場でも役に立つだろう。私自身、シナリオプランニングの発想を用いて、現場のプロジェクトをリードしている。

 たとえば、外部環境の変化(あり/なし)と進捗(スケジュールどおり/遅延)を掛け合わせて、プロジェクトの大枠の進めかたを考えている。ほかにも、経験則で対応できない場合は、プロジェクトの影響に左右する因子をもとにシナリオを考える。ワーストシナリオがあればそのリスクを考え、ベストシナリオであれば、どうすればそこに辿り着けるのかを考えている。

シナリオプランニングの一例(筆者作成)
シナリオプランニングの一例(筆者作成)

 未来から考えるこの視点が、未来を引き寄せる。すなわち、4つのシナリオを擬似体験している人とそうでない人では、仕事のチャンスやリスクを見極める力が差となって表れるはずだ。

 COVID-19の終息やオリンピック開催など、いまだ見通しが立っていない不確かな未来。少しでも未来を想像し、そこに向かっていく人が、新しい道を創造できるのだろう。

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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https://codezine.jp/article/detail/13676 2021/02/25 08:00

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