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コロナ禍による変化をクリエイターはどのように捉えるべきか Fjordが2021年のデザイントレンドを解説

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7.リチュアルの消失と創造

 「リチュアル」とは「儀式」を表す言葉であり、人が日常的に行う決まった行動を指して用いられる。この文脈では、結婚式のような大きなイベントから、通勤の習慣、毎朝飲むコーヒーのようなものも含んでいる。

「パンデミックによって、あまりにも多くの変化があったことで、人々はかつてのリチュアルを見直し、新しい意味や形式を模索しています。マインドフルネスやスピリテュアリティに目を向け、不確実性の中で、確実性とコントロールを得ようとする人もいます。自宅でヨガをするように、健康的な習慣を日常の一部として取り入れ始めた人もいるでしょう。

一方、こうした変化は企業にとっては、チャンスでもあり、ブランドが人々に力を与えることができれば、新旧のお客様と有意義で長期的なつながりを得ることができるでしょう。ブランドパーパスに沿った方法で、人々に寄り添ったリチュアルを提供することが重要になります」(エドアルドさん)

 変化を遂げたリチュアルの例としては、通勤が「Microsoft Teams」などのデジタル体験に置き換わったこと。Netflixで友達と同じ体験を共有する「Netflix Party」、Discordでオンラインコミュニティに生まれ変わった東京のカレー屋「6 Curry」、リモート飲み会用に食事と酒類を届ける「Nonpi」、オンライン初詣を開催した「鳥飼八幡宮」などを紹介した。

4.インタラクションの旅立ち

 人々がスクリーンに向かう時間が増えた。企業はデザインやコンテンツを工夫し、生活者のエンゲージメントをどのように高めたら良いかを改めて考え直すことで、人々に興奮や喜び、セレンディピティ(偶然の出会い)を提供できるだろう。これについてエドアルドさんは、以下のように解説した。

「たとえばTikTokのように、誰もがコンテンツを作って発信できるツールが増えたことで、より手作り感のある作品が好まれるようになり、クリエイターと生活者との距離がとても近くなりました。また、従来の接触をともなうインターフェイスが敬遠されたことで、タッチレスのインタラクションが急速に普及しています。物理的なオフィスに変わってオンライン上のバーチャルオフィスを活用する事例も登場しています」

 こうしたインターフェイスに注目している事例として紹介されたのは、「Leap Motion」や「Amazon」のようなテクノロジー企業。また、エクササイズを没入感のあるエンターテイメントとして提供している「Mirror Fit」や「Zwift」、VR・ARの取り組みとしてSHOWROOMがリリースした仮想化ストリーミング「SHOWSTAGE」なども紹介された。

5.流動的なサプライチェーン

 2020年はモノを入手する方法も変わった。そのため今回のパンデミック下においては、サプライチェーンをも資産と捉え、顧客が企業に求める変化に対応できるよう流動的に活用することが求められている。具体的には、急速なニーズの変化に対応するための俊敏性、そして企業のコアバリューに忠実であることが重要だという。

「物理的な小売の効率化によるスケールメリットを活かせなくなったいま、企業は製品の製造や出荷、保管、顧客への配送方法の再構築を余儀なくされています。場合によっては、ブランドが顧客に直接商品を届ける必要もあるでしょう。顧客と新たな関係を築き、ほかのブランドやサービスと肩を並べて注目を集めようとすることもあります。

また、迅速な対応と地域に密着したサービスを実現するために、物理的な小売スペースを新たな配送拠点として再利用する企業も見られました」(エドアルドさん)

 サプライチェーンを資産として有効活用している事例としては、新幹線の空きスペースを貨物輸送に活用した「JR東日本スタートアップ」や、飲食店に設備を貸し出す東京のレストラン「KitchenBASE」などを紹介。また、地域に根ざした持続可能なソリューションに注力する例では、中古家具の売買を始めたIKEAや、地元の農家と消費者を結びつける農業ベンチャー「やさいバス」などが挙げられた。

2021年のトレンドを語るうえで大切な3つのポイント

 エドアルドさんの発表をうけ、番所さんは「大きく3つのポイントがあった」と指摘。2021年のトレンドを以下のようにまとめ、発表を締めくくった。

「ポイントのひとつめは、人々が物事を体験する方法や、場所が変化したことで、これまでの顧客増は存在しないと認識する必要があるということ。2つ目は、それを踏まえ新たなリチュアルをどのように創造していくか、これまでフィジカルに提供していた質感やワクワク感、没入感などをどのように提供していくのか、ということを考慮した顧客体験の再構築が必要不可欠であるということ。3つ目が、それらを実現するにあたって、既存のサプライチェーンの見直しも含めた企業の変革とセットで行っていく必要がある、というものです。

このように、“顧客の声”だけでなく、“顧客を取り巻く社会”にどういったトレンドが起きているのかも理解したうえで、新しいサービスやプロダクトを構想していただくと良いのではないでしょうか」

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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https://codezine.jp/article/detail/14001 2021/04/19 08:00

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