「TensorFlow 2.7」では、デバッグエクスペリエンスを大幅に改善し、スタックトレースの簡素化、カスタムKerasレイヤから発生したエラーでの追加のコンテキスト情報の表示、KerasとTensorFlowのすべてのエラーメッセージの幅広い監査といった変更が行われている。
スタックトレースの簡素化では、エラー時に表示されるスタックトレースをデフォルトでフィルタリングし、TensorFlow内部コードに由来するフレームを非表示にすることで、重要な情報のみを表示する。これによって、スタックトレースがより単純かつ短くなり、コードの問題を理解した修正が容易になる。なお、TensorFlowコードベース自体を実際にデバッグしている場合は、tf.debugging.disable_traceback_filtering()を呼び出すことでフィルタリングメカニズムをオフにできる。
カスタムKerasレイヤから発生したエラーでの追加のコンテキスト情報の表示では、レイヤをデバッグする際に、最初に必要となる入力の形状とdtype、training引数とmask引数の値を、カスタムKerasレイヤから発生するすべてのスタックトレースに自動的に追加するようになった。
KerasとTensorFlowのすべてのエラーメッセージの幅広い監査では、tf.functionエラーメッセージをより明確で正確になるよう改善したほか、TensorFlowのAPIとシームレスに連携するユーザー定義のオブジェクト指向型を作成可能なExtensionType APIが導入されている。
そのほか、ワークロードをTensorFlow 1系列からTensorFlow 2系列へ移行したいユーザーをサポートするガイドページに、更新されたガイドとColabの具体的で実行可能な例を掲載した新たなドキュメントが含まれるタブが追加された。また、TensorFlow Hubにおいて、コミュニティによる新たなモデルが多数提供されている。