IPA(情報処理推進機構)は、日本企業におけるDXの現状や実態の把握を目的として作成した「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2021年版)」を、8月17日に公開した。
同レポートによれば、全企業における成熟度の平均値は1.95で、2020年の1.60から0.35ポイント向上している。成熟度は、最終的なゴールであるレベル5を「デジタル企業として、グローバル競争を勝ち抜くことのできるレベル」、レベル3を「全社戦略に基づいて部門横断的にDXを推進できるレベル」、レベル0を「DX未着手」と定義しており、成熟度の平均値が3以上の「先行企業」は486社中86社で、17.7%を占めた。昨年の8.5%からは2倍、2019年の4.4%からは4倍となる一方で、レベル3未満の企業は400社あり、全社戦略に基づいて部門横断的にDXを推進できるレベルに達していない企業が8割以上を占めている。
35項目の指標ごとに全企業の平均値を比較したところ、全体的にIT視点の指標が経営視点の指標よりも成熟度が高く、1位の「9-5 プライバシー、データセキュリティ」は、その重要性が社会的に浸透しているためか、他の項目よりも優先的に取り組まれていることが明らかになった。下位5つのうち3つが「6 人材育成・確保」「6-1 事業部門における人材」「6-2 技術を支える人材」であり、人材育成に関しては他の取組に比べるとまだ戦略を立てられていない企業が比較的多いと考えられる。一方で、IT視点指標における「9-2 人材確保」は上位にあることから、IT部門は設置されているものの、その人材のプロファイルや数値目標の整備が追い付いていない、あるいはそれらを定義することが難しいと予測することができる。
各指標の平均値を経年で比較すると、全35の指標で成熟度レベルは毎年上昇しており、2019年と2020年の間には一部の指標のみで有意差がみられた一方で、2020年と2021年の間にはすべての指標で有意差がみられた。2020年から2021年にかけて、DXの成熟度は平均的に加速してきているといえる。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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