Top10サービスの中から押さえておきたいアップデートを紹介
ここからは、前述したNTTデータで利用実績の多い10個のサービスを対象に、2022年中に発表されたアップデートのうち筆者が特に押さえておくべきと感じた内容を紹介します。
v2になりさらに使いやすくなった「Aurora Serverless」
まずはRDSの一種であるAurora Serverless v2を紹介します。
Amazon Auroraは高性能、高可用性の実現に加え、多くの運用作業をAWSが担ってくれるマネージドデータベースサービスですが、その分コストが高くなりやすいという課題がありました。そこでAurora Servelessという処理実行時間に応じたデータベースサービスが2018年から提供されていました。しかし、リクエストの急激な増加に応じたスケールアウトが時間を要す、マルチAZ構成を組めないなどの課題があり、それほど多くの場面で利用ができませんでした。
それらの課題を解決したものが、v2です。v1よりもコスト面では割高になる場面もありますが、通常のAuroraと比べるとコストを抑えられることが多く、何よりAuroraが本来持っていた高性能や高可用性を享受できます。今後AWSでRDBを利用しようとする場合は、Aurora Serverless v2は選択肢の第一候補に挙がってくると考えており、とても大きなアップデートだったと思います。
CloudFront経由のみの通信制御が容易に「CloudFront用マネージドプリフィックスリスト」
続いて紹介するのはVPCでCloudFront用のマネージドプリフィックスリストのサポートです。Aurora Serverless v2と比べると地味なアップデートのように思われるかもしれませんが、非常に実用的なアップデートだったと感じています。
マネージドプリフィックスリストとは、AWS社が提供してくれるAWSサービスが持つIPアドレスレンジのことです。AWS側の基盤拡張などでIPアドレスの変更があった場合も自動的に追従してくれるため、特定のAWSサービス経由の通信しか許可したくないという場合に大変重宝します。
CloudFrontはエンドユーザーのトラフィックを捌く目的で多くのシステムで採用されていることが多いです。ですが、今まではCloudFront経由の通信しか許可したくない場合、こちらのような少々凝ったアクセス制御を実装する必要がありました。このアップデートにより、CloudFrontのIPアドレスレンジからの通信を簡単に制御することができるようになったため、CloudFront-ELBという構成を組んでいる多くのシステムで非常にうれしいアップデートだったのではないかと思います。
S3でバケット丸ごとのバックアップが容易に「AWS Backup for Amazon S3」
最後に紹介するのはAWS Backup for Amazon S3のGAです。
S3に静的なコンテンツを配置し、Webサーバーのように利用するユースケースは一般的になってきているかと思いますが、そのコンテンツをとある時点で丸ごとバックアップを取っておきたいという要件は、結構あるのではないでしょうか?
S3にはバージョニングの機能があり、オブジェクト単位でのバージョン管理はできるのですが、バケットを丸ごとという要件では機能が足りておらず、自力で仕組みを作り込む必要がありました。AWS Backup for Amazon S3を利用することで任意の時点でのバケット内のオブジェクトのバックアップを取得できます。自作していた仕組みが不要になったシステムも多いのではないかと思い、紹介させていただきました。
次回について
今回はNTTデータにおいて利用実績の多いAWSサービスを中心に、サービスアップデートを紹介しました。次回は11月末に開催される「re:Invent直前チェック」と題して、今回紹介したアップデート以外で今年に発表されたサービスアップデートのうち、押さえておくべき内容を一気におさらいします。ご期待ください!