こんなに簡単、FileMakerでのデータベース作成
FileMakerは、それ自体がDBMS(データベース管理システム)です。Oracleにデータを取り込む必要がなければ、現場レベルのシステムとしてそのまま利用していけばよいのです。さらに、バージョン9.0からは外部SQLデータソース機能が提供されているので、Oracleのデータを現場に提供することだってできます。
ぜひ、その使い勝手を実際に試してみてください。
Excelで運用しているデータをFileMakerのデータベースに
では、インストラクターの私に関係のあるIT研修のコース管理を題材にしてみましょう。コースマスタ情報が図2、コーススケジュールが図3のようにExcelで管理されているとします(サンプルのExcelファイルはこちらからダウンロードできます)。
このデータをFileMakerというDBMSに取り込むのはいとも簡単です。
FileMakerを起動して、[ファイル]-[開く]から前述のExcelファイルの各シートを開き(図4)、FileMakerのファイルとして保存します。この時点で、データの検索、編集(挿入、編集、削除)といったデータベースの基本機能は使えます。
また、コースマスタの「概要」列のように長い文章をデータとして入力する際、デフォルトで折り返しながら表示されるため、Excelなどに比べ入力しやすくなっています。
2種類のレイアウト
レイアウトは大きく分けて、表形式(図5)とフォーム形式(図6)の2種類があります。アプリケーションぽく仕上げたければ、フォーム形式を使用して、フィールドのコントロールスタイルをドロップダウンリストやラジオボタンセットにするのもいいでしょう。開発センスのある現場の担当者であれば、マニュアルを読まなくても手順は簡単です。VBマクロをExcelに埋め込んで使っているような担当者なら、不安なく開発できます。
プルダウンリストでのデータ入力の実装
まずは、表示方法をブラウズモードからレイアウトモードに変更します([表示]-[レイアウトモード])。第4世代言語(4GL)での開発経験のない現場担当者には、モード変更をすることで開発環境と実行環境を切り替える感覚が最初はなじめないかもしれません。学習タイプフィールドを選択して、右クリックし、「プロパティ」を探します。しかし、「プロパティ」とは表現されていないので、[フィールド/コントロール]-[設定]を選択します。このあたりの言い回しの違いは、操作はマニュアルを読まなくても、「多分、そういうもんじゃないかな」という感覚で操作できるかと思われます。
次に表示形式で[ドロップダウンリスト]を選択し、[次の値一覧の値を表示]で[値一覧の表示]を選択して、項目を作成します。ここでは、[作成]ボタンを押して、[フィールドの値を使用]からファイル名である「コースマスタ(変換)」「学習タイプ」フィールドを選びます(図7)。こうすると、学習タイプが「講義+実習」以外に「講義」「E-Learning」などと増えても、格納されたデータから自動的に一覧が出せます。
受講料は金額ですから、「通貨記号を先頭に付ける」「3桁ごとにカンマを付ける」はやっておきたいものです(図8)。
フィールドを右クリックして[数字書式]を選択し、[小数点を含む数値の書式]を選択して通貨記号とセパレータを設定します。CodeZineの読者にとっては、朝飯前のことかもしれませんが、現場の担当者にしてみれば、SEに依頼しなくてもここまでできるのはうれしいことでしょう。
では、ここまでの作業を保存して、ブラウズモードに切り替え、新規レコードを挿入してみましょう。入力した金額に通貨記号とセパレータがつき、「学習タイプ」フィールドではプルダウンリストが出てきたことが確認できます(図9)。