クライアント/サーバー型(C/S型)ソリューション
システムで管理している情報を同時期に複数人で共有する。提供するソリューションのほとんどは、この形態を取っているのではないでしょうか。
FileMakerのラインナップでこれを実現するには、FileMaker Proの共有機能を使用するか、FileMaker Serverを導入することになります。どちらを選択するかは利用者数が判断基準となり、ホストとなるPCも含め10台までであればFileMaker Proによる共有で運用可能です。
ただ、最初から情報共有が前提ならば、人数に関係なく、障害時のリスクヘッジ、セキュリティやパフォーマンスの観点から、FileMaker Serverの導入をお薦めします。
というのも、運用上ホストとなるPCに、スタンドアロンでの運用時の留意点がそのまま適用される上、C/S型ならではの管理や制御の仕組みを別に考えなければなりません。場合によっては、そのために独自で別途プログラムを組む必要も出てくることもあります。
FileMakerの良さを活かすならば、FileMaker Proによる共有機能は、スタンドアロンソリューションで便宜上一時的に情報共有したい場合、あるいはC/S型のソリューションの開発工程の中で、導入先の一部で当面テスト的に使用してもらいたい、といったケースで選択するのが良いと考えます。
FileMaker Serverを導入する
FileMaker Serverというソフトは、それ自体でデータベースの開発を行うものではなく、開発したDBファイルをネットワーク上で共有できるように効率よく展開してくれるソフトです。FileMaker Proが開発ツールならば、FileMaker Serverは情報共有に特化したソフトと言えます。
FileMaker Serverが提供する共有手段には、FileMaker ProをクライアントとするC/S型、WebブラウザをクライアントとするWeb型、あるいは別の開発アプリケーション(VB、JAVAなど)をクライアントやミドルウェアとしてつなぐODBC/JDBC型とあります(後述のインスタントWeb、あるいはODBC/JDBC型にはFileMaker Server 9 Advancedが必要)。
ここでは、C/S型の運用について触れたいと思います。FileMaker Serverを導入すると、そのソフト的な管理はGUIによる「FileMaker Server Admin Console」を通じて行うことが基本となります。
FileMakerのC/S型の運用でよく行われる行為としては、
- 作成、修正したファイルをサーバーにアップする
- 共有できるように展開する
- 稼働状況を把握する
- バックアップスケジュールを立てる
といったことが挙げられますが、これらはすべてFileMaker Server Admin Consoleを通じて簡易な操作で行うことができます。後述のWeb型に関してもこのソフトにて一元管理しています。
またVer. 9からは、Serverが行う処理でエラーが発生した際に、FileMaker Server Admin Consoleであらかじめ設定したメールアドレスにアナウンスを行う機能も実装されました。監視体制としては、この設定、およびFileMaker Serverの稼働しているプロセスを監視することで、障害の発見・対応が迅速にできるでしょう。
続いてハードウェア環境は、規定の動作環境に準ずることが基本ですが、インストールについて一つ注意点があります。それはFileMaker Serverアプリケーションのインストール先は、OSのシステムディスクと同じボリュームになるということです。インストール時に任意で変更することができませんので、ディスク容量は注意してください(DBファイルの格納先フォルダは、設定により別のボリュームを指定することはできます)。
バックアップについて
その他の留意点としてバックアップに関することを少し。
バックアップディスクですが、可能であれば外付けのハードディスクを用意すると良いでしょう。バックアップ先が内蔵の別ディスクや、ネットワークボリュームという運用も選択肢としてはありますが、OSレベルでの障害や、バックアップ時の外的要因(ネットワーク障害など)によるバックアップの未処理などを考慮すると、復旧時のハンドリングも踏まえた上で、外付けのハードディスクが一番容易です(ちなみにFileMaker Serverのバックアップスケジューリングの設定では、ネットワークボリュームへのバックアップはできません。別途対応策が必要です)。